「この案件が失敗したのはアイツのせいだ」――そんな嘘を上司に言いふらされたらどうすればいいのか。経営共創基盤の木村尚敬氏は「正面突破で解決するのではなく、協力者を見極める必要がある」という――。

※本稿は、木村尚敬『修羅場のケーススタディ 令和を生き抜く中間管理職のための30問』(PHPビジネス新書)の一部を再編集したものです。

指を突き立て怒号を浴びせてくる男性
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部長の鶴の一声で始められた海外進出プロジェクトだが、コロナ禍もあり大損失を計上。だが、部長は今になって「あれはA君の発案」「私は止めたのだが、彼が暴走した」などとあらゆるところで言いふらしているようだ。
このままでは自分の社内評価やキャリアにも大きな影響が出てくる。しかし、自分から否定して回るのも恰好がつかないし、何より部長と対立することになる。
Q:「サラリーマンの宿命」とこの状況を甘受するか? それとも全面否定に回るか?

どの組織にもこんな上司がいる

「手柄は自分のもの、失敗は部下のもの」──こんな上司はどの組織にもいるものです。

私自身、このケースとまったく同じ状況に追い込まれた経験があります。

以前在籍していたコンサルティング会社でアサインされた、とあるプロジェクトでのことです。責任者であるプロジェクトマネジャー(プロマネ)と私を含むメンバー二人でチームを組み、メンバーは顧客企業に常駐しながらプロジェクトを進め、プロマネは普段は現場に顔を出さず、本社にいてマネジメントするという形式でした。

ところが、このプロマネが問題アリの人物で、スケジュールも予算も情報も何一つまともに管理できず、結局プロジェクトは大炎上。クライアントから会社へクレームが入りまくるという非常事態に陥りました。