堂々と武勇伝を語る元いじめ加害者、元暴走族を電波に乗せるな

医師としては、そうした事態が起きることを看過することができない。以前から、元暴走族やそのリーダーであったことを公言する人が俳優やタレントになってテレビに出ることを苦々しく思っていた。

彼らの中には、「暴力をふるったことがない」などと公言する人もいるが、本当だろうか。「弱い者いじめをしたことがない」という人もいるが、弱いものいじめでなくても、敵対勢力を暴力で痛めつけたことがあれば、相手側は相当のトラウマを受け、PTSDになってもおかしくない。

辞書のPTSDの見出しにピンクマーカー
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そういう被害者は彼らがテレビに登場するたびに症状を悪化させる可能性があるわけだが、テレビ局の制作者はこうした心理学や精神医学の知識が乏しいため、彼らを平気で起用するのだろう。

敗者復活戦を認めなければ「元暴走族や元非行少年はずっと更生できない」という人もいるだろうが、更生する方法は他にもある。

元暴走族のリーダーであっても、例えば、被害者がわざわざ見に来ない(偶然見てしまうことはないとは言えないが)舞台俳優になるのなら、問題ないだろう。そうした方法なら賛同したい。要するに、テレビのような不特定多数が見る場に出てくるのは遠慮すべきであり、制作者も起用すべきではないと私は言いたい。

過去の過ちのためにテレビに出られないのが人権侵害という人もいるかもしれない。だが、過去に彼らによってひどい目に遭った人が、そのたびに症状を悪化させるとしたら……。被害者の人権を優先させるべきなのは当然の話ではないだろうか。

加害者のほうが有名人の扱いを受け、十分な収入を得ているのに、被害者のほうはその被害のために社会生活を営めなかったり、定職に就けなかったりするのに、さらにその映像を見ることでさらに症状を悪化させるとしたらまさに理不尽である。