新型コロナワクチンの接種が進んでいる。しかし国民が接種に前向きかどうかを調べると、若者層で消極的な意見が多いという。それにはSNSなどで流される反ワクチンデマも影響している。政府によるデマの「打ち消し」が奏功するには、何が必要なのか。プレジデント社の公式メールマガジン「橋下徹の『問題解決の授業』」(7月27日配信)から抜粋記事をお届けします。

他人から信頼を得るのはしんどいこと

他人から信頼を得る、というのはほんと難しいものです。僕自身、ある特定の人からは強く信頼してもらっていると自負していますが、そうでない人からは、もう無茶苦茶罵られていますからね。

橋下 徹『大阪都構想&万博の表とウラ全部話そう』(プレジデント社)
橋下 徹『大阪都構想&万博の表とウラ全部話そう』(プレジデント社)

まあ僕の本業は弁護士。依頼者からの信頼があれば十分です。メディアでの発言に関しては、信頼してもらえることもあれば厳しい非難の対象になることも承知済みです。加えて、一度政治家をやってしまうと、政治的に対立するスタンスの人からはボロクソに言われることも覚悟しておかなければなりません。

それでもできる限り信頼してもらうように努めることは、人間社会で生きていくためには必要なことだと思います。

ここで重要なことは、信頼というものと、個別の言動の正当性や賛否、結果の出来不出来は完全にリンクしていないということです。

もちろん日々の言動の積み重ねによって信頼というものは築かれていくのですが、一度強固な信頼が築かれると、個別の言動の賛否や結果の出来不出来とは関係なく、信頼というものは継続します。他方、信頼が築けていなければ、どれだけ正しいことを言ってもなかなか支持されません。そして信頼を損ねる言動があると、長い年月をかけて築いてきた信頼も一瞬にして崩れてしまいます。

これらの点をしっかりと認識しておくことが必要です。

ゆえにその主体の個別の言動が正しいのかどうかの前に、その言動をしている主体が信用できるのかどうかが先に来るのです。

この点について、日本の政治家、特に菅政権の認識が弱い気がします。

実は橋下家の子供たちも政府の発信を信用せず……

菅政権・日本政府は、今、ワクチンに関するデマ情報の打ち消しに必死です。

首相官邸もツイッターを通じてデマ情報を否定する情報を発信している、河野さんもテレビやネットを活用してデマ情報を否定することに尽力しています。

しかし、その情報発信が国民に浸透しているかといえば甚だ疑問です。

特にワクチン接種の普及率を高めるためのキー層である若者たちの多くが、政府からの情報発信を信用していません。

「ワクチンを普及させたい政府側が、ワクチンのマイナス情報を否定するのは当然のこと」
「マイナス情報が出た瞬間に、政府がそれを打ち消すのはかえって怪しい」
「マイナス情報に関しては長々とした説明があるのに、政府のそれを否定する文言は数行だけ」
「そもそも100年後に絶対大丈夫だと何の根拠があって言い切れるのか」

実はうちの子供たちもこのような論調で政府の言っていることを信用していないんですよね。

まあ、今は自分たちで色々な情報収集をしながらワクチン接種をする意思を持つようになっているようですが。

(ここまでリード文を除き約1100字、メールマガジン全文は約8800字です)

※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.257(7月27日配信)から一部を抜粋したものです。気になった方は、メールマガジン購読をご検討ください。今号は《【自治体のワクチン「在庫」問題】科学的根拠だけではダメ! 菅政権に必要な「信頼感」の取り戻し方》特集です。

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