売れ行き視察で草加西町店から新高島平店まで行脚

完成した「ウインナー弁当」は6月30日、関東限定で販売を開始した。林さんは各店舗に発売に至るまでの経緯を説明し、販促用のポップも自ら手配した。午前8時、自宅近くの草加西町店から、自身が担当する埼玉、千葉、東京エリアの約20店舗を視察。最後に新高島平店を訪れた時には午後8時を回っていた。

各店舗ではリアルタイムの売れ行きが把握できる。通常、弁当は朝方に売れにくいがウインナー弁当は予想外に良く、昼はいったん落ち着いたものの、夕方から一気に売れ始めた。

完成した「ウインナー弁当」
撮影=西田香織
完成した「ウインナー弁当」

気難しい店舗のオーナーからも電話があった。林さんが「まさかクレームだろうか」とドキドキしながら電話を取ると、開口一番「ウインナー弁当、売れてるからこういうのどんどん作ってくれ!」「次もあるのか⁉」と励まされた。

林さんは「こんな商品は本当に珍しい。これはいけるな、と思いました」と振り返る。

ロングセラー「ひじきご飯弁当」を追い抜く

ローソンストア100の最近の話題商品では、ブリオッシュ生地のパンにクリームをぎっしりと挟んだスイーツ「マリトッツォ」(税抜き100円)が好調だが、発売当初から「これはいける」という売れ方をするのは一握りで、すぐに売り上げが落ちることも珍しくない。

ロングセラー商品の「ひじきご飯弁当」
ロングセラー商品の「ひじきご飯弁当」(写真提供=ローソンストア100)

約20種あるローソンストア100の弁当のうち、これまでの不動の一番人気は、ひじきにミートボールやちくわ天、玉子焼きなどがのった「ひじきご飯弁当」(税抜き200円)だ。10年近く前から販売しているロングセラー商品で、主要客層である40~50代男性だけでなく女性、シニアまで幅広い層の支持を集めている。

林さんはウインナー弁当の開発にあたり、これに並ぶ「店舗当たり1日3個以上コンスタントに売れる弁当」を目標に掲げていた。同じ価格帯で違うコンセプトをもつことで、売り上げのベースになる商材を作るのが狙いだった。

ウインナー弁当の発売から約10日、売れ行きを尋ねると満面の笑みが返ってきた。「目標の2倍以上です。ここまで売れるとは思っていなかった。野球界で例えれば、大谷翔平選手のような大活躍です」。

目標だったひじきご飯弁当を追い抜き、ウインナー弁当は断トツのトップに躍り出た。大反響を受けて、関東に限定していた販売エリアを8月にも全国に拡大する予定だ。林さんは「これまでいくつか商品を提案してきましたが、今回が一番根付いて販売を続けられるのではないかと思います」と期待を込める。