「いろいろ食べたい」「好きなものだけ食べたい」需要にマッチ

なぜ社内の予想をはるかに超えてウインナー弁当は売れ続けているのか。ローソンストア100の分析は次の通りだ。

・購入層は男女比65:35。特に30~40代男性に支持されている
・普段弁当を買う人と比べて新商品、話題ものが好きという特性の購入者が多い
・差別化が難しいシンプルな商品を妥協せず突き詰めた
・結局おいしくないと売れない。値段と味と量に納得してもらえた

実はウインナーだけをおかずとした弁当は、東京・亀戸と御徒町に展開する24時間営業の弁当屋「キッチンDIVE」でも販売しているのだが、「量がとても多い。うちとはコンセプトが異なる商品です」と林さん。

「ランチを500円で収めたいのに、外で買うと弁当だけで終わってしまいます。でも、うちのウインナー弁当なら、カップラーメンに加えてドリンクを買っても500円以内。いろいろなものを食べたい、好きなものだけ食べたい、という多様なニーズに合うのではという狙いがばっちり当たったのだと思います」

食べ合わせの提案は、コンビニよりは低価格で、スーパーよりは規模が小さいローソンストア100ならではの工夫だ。あまり店内を移動しなくても商品が選べ、短時間で買い物が済むというメリットがある反面、客単価は上がりにくい。そこで、肉類の近くに調味料を置く、豚肉の横にカレーの材料をそろえるなど、小さなスペースで関連商品やメニューを提案し、客単価を上げていく工夫が必須になる。

写真提供=ローソンストア100

ちなみに、林さんがおすすめするウインナー弁当のお供は、ローソンストア100独自商品のカップラーメン「大盛ねぎラーメン」だ。税抜き100円なので、もう2品買ってもワンコインで済む。

客の動向だけでは同じような商品しか生まれない

コンビニ業界は、目新しいものを即座に取り入れながら、客のニーズに応えて絶えず進化し続けている。その中、ウインナー弁当の構想を10年間温めた林さんに“売れる商品を作る極意”を聞いてみた。

「お客さまの動向だけ見ていると、いつもと同じような商品しか作れません。お客さまが実は気にしていないところを、店側が気にし過ぎると失敗してしまう。むしろ、店側が『これ』というこだわりを持つことが大事である気がします」

ウインナー弁当を掲げる林弘昭さん
撮影=西田香織
ウインナー弁当を掲げる林弘昭さん

一方、ローソンストア100には毎日野菜やたまごを買い求める「スーパー的」な使い方をする客も多い。「売り場や新商品がとんがり過ぎるとだめ。商品のリニューアルはもちろん大事ですが、食卓に出てくるものがきちんと常時そろっていることで、うちに対するニーズはさらに高まると考えます」とも話す。

今回のヒットを受け、同社ではおかず単品弁当のシリーズ化も視野に入れている。ウインナーと同様、これまでスポットライトが当たらなかった新たな主役が登場するかもしれない。

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