米国発の音声SNS「Clubhouse」が2021年初頭の日本を席巻した。一時の熱狂はすっかり去ったようにも見えるが、音声メディア関係者は「Clubhouseの体験は復活する」と声をそろえる。『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』を著し、起業家が成功の秘密を本音で語る話題のラジオ番組「ビジプロ」のDJとしても活躍中の事業投資家・三戸政和氏は、「投資するならむしろ今」と指摘する──。(第2回/全2回)

気になる「音声メディアのマネタイズ」

事業投資家として、筆者は「音声メディアは買い」だと考えている。今後の日本で、音声メディア市場が拡大していくのは、米中の音声市場の広がりから見ても間違いない。

だが、日本の音声メディア市場はまだまだ小さい。音声メディアは具体的にどのようにマネタイズ(収益化)されて成長し、今後の日本の音声市場はどうなっていくのか。

音声メディアのマネタイズの柱は広告収入とユーザー課金だが、ここではまず、ラジオを含めた音声市場の広告収入が今後どうなっていくかについて述べよう。

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デジタル音声広告費はまだまだ小さいが…

メディア事業は、広告収入がその将来性を左右することは言うまでもない。日本の広告市場は2019年、インターネット広告費がテレビ広告費を上回り、広告メディアの主流が交替した。

音声広告の主流であるラジオ広告費はというと、しばらく横ばいが続いていたが、新型コロナウイルスのパンデミックの影響を大きく受け、20年は前年より16%ほど減らして1066億円となった。15年前と比べると40%減だ。

それでも、ラジオ広告費と比べると、アプリなどの音声メディアに載せるデジタル音声広告費はまだまだ小さい。市場調査会社のデジタルインファクトの調べでは、国内の20年のデジタル音声広告費はわずか16億円だ。