日本を席巻したClubhouseブーム
今年1月、Clubhouseが日本に上陸した。久しぶりの新しいSNSであり、招待制だったこともあって、「誰か招待してくれ」「招待枠あります」という書き込みがFacebookやTwitterで飛び交い、あれよあれよという間に日本中を巻き込むブームとなった。年長の人の中にはかつての日本の草分けSNS、mixiのブームを思い出した人も多いだろう。
動画でもなくテキストでもなく、純粋な音楽でもない。主におしゃべりという「音声」で発信する音声メディア。
古くからあるラジオもそのひとつだが、Podcast(ニュースや情報などさまざまなコンテンツがある。アプリやウェブなどいろいろなところに配信する仕組みのことをいう)やSpotify(音声配信プラットフォーム、音楽配信で火が付いた)など、ウェブサイトやアプリで聞ける音声メディアが増えてきている。
アメリカ発のClubhouseもそんな音声メディアのひとつだ。
アメリカ・中国で巨大市場化する音声メディア
音声メディアはアメリカや中国ではすでに巨大市場となっている。
アメリカの調査会社、Global Web Indexの2018年の調査では、毎月Podcastを聞いている人はアメリカでは全人口の26%(約8300万人)、中国では29%(約4億人)を数える。デジタル音声広告の市場規模を見ると、アメリカ市場は20年には3000億円を超えている(デジタル広告業界団体IAB調べ)。
一方の日本では音声メディアの市場はまだまだ小さい。Global Web Indexの調査では日本のPodcastの月間利用者は8%(約960万人)である。日本の市場調査会社のデジタルインファクトの調べでは、国内の20年のデジタル音声広告の市場規模はわずか16億円だ。
日本発の音声メディアとしては、スマホで全国のさまざまな局のラジオが聞ける「radiko」が有名だが、ネットオリジナルの音声コンテンツが聞けるメディアで、誰もが知っているというものはまだ出てきていない。
そんな中でのClubhouseの到来だった。日本の音声メディアはその影響をもろに受けて、利用者をごっそり減らしたのだろうと思っていたが、ところがどっこい、現実はその逆で、利用者数を大きく増やしていた。