アップルペイやグーグルペイの目的は「囲い込み」
アップルペイやグーグルペイなど、各種○○ペイの事業者側の手数料についても、同じことが言えます。こちらは0円ではありませんが、クレジットカードの数%に比べれば、はるかに安い利率で事業者は利用できるように価格競争が起こりつつあります。
さらに補足すれば、アップルペイやグーグルペイの手数料は、本来であれば無料で提供できるわけです。先に書いたとおり、決済サービスはあくまで本業への囲い込みだからです。既存の競合に合わせて手数料を取っているだけですから、開発が進めば、決済サービスの手数料も無料になることは十分考えられます。
余談ですが、役所などで住民票や戸籍謄本などをプリントアウトしてもらうと、数百円の手数料を取られます。同じように、学歴の証明書発行など、手数料が有料のものは多くあります。
これらの手数料も、今後ブロックチェーンなどのテクノロジーが浸透していけば、役所の担当者を介さずに、それでいてセキュア(安全)に簡単に取得できるようになります。その結果、無料になると私はみていますし、そのようなサービスを提供するベンチャーが、これからおそらく出てくるでしょう。
そして究極的なトレンドとしては、テクノロジー企業が銀行機能を持つ。このようなトレンドになっていくと思います。
預金量だけに頼る銀行は投資家に見捨てられていく
ペイパルが、アメリカ屈指のメガバンク、バンク・オブ・アメリカの時価総額を抜きました。この出来事の背景には、まさにこれからの金融業界におけるトレンドが示されています。預金量が多いだけでは競争優位性を保てないということです。
言い方を変えると、預金量だけに頼っているビジネスを続けている銀行を、世界中の機関投資家たちは、「これから先、大きく伸びることはなさそうだ。だから投資するのは控えよう」。このように判断した、ということです。
銀行の収益柱の要はローンです。ローン事業による利益率は、おおよそ数%でしょう。バンク・オブ・アメリカの預金量は約2兆ドルですから、日本円にすると約200兆円。つまり預金を貸すことで得られる利益は、約2兆円以上になります。
それなりの金額ですし、一見すると優良企業のようにも思えますが、投資家の観点はまったく異なります。「わずか数%しかリターンがない」と思うからです。