「データを持っていて、活用できるか」が投資家の判断材料

もう一つ付け加えれば、2兆円という金額や企業の規模、そして預金量には、投資家は興味がありません。

興味があるのは、投資したお金がどれだけ増えるか。現在の利益率ではなく、これから先どれくらいグロース(成長)し、どの程度の利益を生み出す可能性があるのか。そしてその成長の種を持っているか。そこが、ポイントだからです。

現時点では小さなベンチャーであっても、この先伸びる技術やサービスを持っていれば、瞬く間に時価総額数千億円、中にはペイパルのように数十兆円規模にまで成長する時代であり、トレンドだからです。

伸びる企業の判断材料の一つが、データを持っているかどうかです。ただし、データは持っているだけでは意味がありません。保有しているデータを活用し、ユーザーや社会から評価される仕組みやサービスとして世に送り出すことのできる、技術力やインテリジェンス(洞察力)が必要です。

そして、このようなアセットを持つ企業に対して、市場が適切に評価する。ペイパルがバンク・オブ・アメリカの時価総額を抜いたことは、まさに現在のトレンドシフトを如実に表している出来事と言えます。

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データを活用できない銀行は合併の対象になっていく

データを活用した金融サービスが、社会に浸透した際の未来の姿はこれから詳しく紹介していきますが、データがあれば、EC、広告、与信など、いくらでもサービスの展開ができます。

一方で、いわゆる旧態の銀行は、これまで使えるかたちでデータをそもそも取っていませんでした。もちろん、○○円の入金が△月△日にあったといった類いのデータはあるでしょう。

しかしデータを自社の広告や営業に生かすようなAIなどの分析ツールを用意しなかった。そもそもそれ以前、別のサービスに活用するためにデータを取ろうとの考えがなかったと思われます。

このような姿勢やビジネスモデルは、現代のトレンドとは合致しません。

投資家目線で考えたら、アメリカの投資銀行であるゴールドマン・サックスがいち早くデータを活用したり、テクノロジー企業と組んでいる一方で、データが規制や慣例も関連し取れる状態でなかったり、あるデータを活用しようともしない。

預金量が劇的に増えない中で預金量×数%のビジネスがメインであり続ける。言い方を変えると変われない旧態の銀行では今後合併などの対象になってくるでしょう。