「自分を気にかけてくれる場所」があるから人は頑張れる
【湯浅】なぜそうまでして居場所を守らなければいけないか。そこがなかなか理解されないところなのですが、やっぱり人が頑張るためには、誰かが自分を見てくれている、自分を気にかけてくれる場所が必要だと思うんです。
『逃げるは恥だが役に立つ』の平匡さんは健康で両親もいるし、家もあって経済的に困窮しているわけじゃない。でも「プロの独身」を名乗って、自分は人から好かれるような人間ではないと思い込んでいる。だからみくりさんの好意に対しても、「僕が好かれるのは雇用主だからだ」と受け止めてしまう。これこそ「生きづらさ」ですよね。べつに失業していなくても、家族がいても、大人でも生きづらいんです。
多くの人が抱えている不安は、「誰かが自分を見てくれている居場所」が癒やしてくれるのではないでしょうか。そういう意味で僕はこども食堂を、無縁社会に対する処方箋だと思っているんです。
(構成=小泉なつみ)