場当たり的な政府対応とワクチン接種の遅れ「もう耐えられない」

次に、こうした感染状況の推移とのかかわりの中で、国民の感染不安や生活不安がどう推移してきているかを見てみよう。

まず、国民の「コロナ感染への不安感」がどのように推移しているのかを見てみよう。

この点を示す月次の継続調査としては、内閣支持率を調べているNHKの政治意識月例調査があるが、各月の結果はテレビでも報じられるものの、時系列変化については全く活用されていないので、ここでそれをグラフにして示した(図表3参照)。

感染不安の状態かで政府批判も強まる

感染への不安は、4波にわたる感染拡大の急増にあわせて、2020年の4月、7月、そして2021年の1月、5月にピークを見ていることが分かる。

興味深いことに、感染者数は、後の波ほど多くなる傾向にあるのに、ピークの感染不安度はだんだんと後の波ほど小さくなっている。

一方、それぞれの波がいったん収まった後の感染不安度の底(ボトム)を見るとだんだんと大きくなってきている。

つまり、だんだんと不安の高まりと低下の幅が小さくなり、定常的な不安感に曝されるようになっているのである。感染不安が常態化しているともいえる。こうした状況が国民のイライラをつのらせ、コロナ疲れを増幅していると言えよう。

感染不安度とともに調査されている「政府の対応への評価」については、2020年の5月、8月、2021年の1月、5月とピーク月かその1カ月後に低下しており、対応が効果をあらわさなかったと判断した時の国民の目は厳しいといえる。

第3波については感染不安のピークと同じ1月に早くも大きく低下しており、しかもそれまでで最低だったことから、GoToキャンペーンの一時停止や緊急事態宣言の発出の遅れなど、対策が後手に回ったという批判から国民の目がなおさら厳しかったことがうかがわれる。

第4波についても対策への評価はさらに大きく低下しており、過去最低となった。国民は、上記のようにただでさえイライラしているところに、政府の場当たり的な対応とワクチン接種の遅れや不手際を目の当たりにして、もう耐えられないという失望感を一層深めていると言えよう。さらに共鳴困難な政権トップの発言内容も失望感を深める一因となっていよう。