統計データ分析家の本川裕氏は、第4波までコロナ禍の15カ月間における東京圏・大阪圏・その他圏の感染者数がひと目でわかるグラフを作成した。本川氏は「政府の第4波への対応評価は大きく低下しており、過去最低。国民のイライラが常態化しているところに、政府の場当たり的な対応とワクチン接種の遅れや不手際で、失望感を一層深めている」と指摘する――。

「五輪強行」の政府にイライラが常態化の国民は失望感を深める

6月3日に参院厚生労働委員会で、オリンピックをめぐり、尾身茂分科会会長が「普通は(開催は)ない。このパンデミックで」と指摘。「そもそも五輪をこういう状況のなかで何のためにやるのか。それがないと、一般の人は協力しようと思わない」と発言したことが波紋を広げている。

新型コロナについては、さしもの第4波もようやくピークを迎え、国民の関心は、感染拡大と医療崩壊への心配から、ワクチン接種の進捗やオリンピックの開催の是非に移りつつあるようだ。

今回は、こうした時期に当たり、過去4次にわたる新型コロナ感染拡大の推移状況を概観するとともに、これまで国民の感染不安、生活不安がどのように推移してきたかを総括しておこう。

下記に示す新型コロナ感染拡大の推移状況については、一般の新聞、テレビなどには見られないグラフの描き方を試みた。また、後述する国民意識の推移については、貴重な月次調査がせっかく行われているのに結果が活用されていないものを使用した。

感染状況の推移について、ここでは、全国を「東京圏」「大阪圏」「それ以外」の3つに分け、主な都道府県の新規感染者数を積み上げグラフで示した(図表1~2参照)。

新聞、テレビなどに登場する全国、あるいは特定の都道府県の毎日の新規感染者数の推移グラフとは異なり、移動平均、すなわち過去1週間の平均の推移で示しているので大きなトレンドがわかりやすくなっている。