「オープンカーのそよ風」をイメージしたエアコン

シリーズハイブリッド方式であるe:HEVにしても、同システムを搭載する「フィット・ハイブリッド」からエンジン、モーターともに強化して新型ヴェゼルの重量増に対応。容量を増加させた駆動用バッテリーと相まって、市街地ではエンジンを停止させたEV走行での距離を伸ばしつつ、山道から高速道路では余裕ある走りが楽しめる。先進安全技術群である「Honda SENSING」もシステムの精度を高めてきた。

また、運転席右前、助手席での左前にあたるエアコンの吹き出し口にはダイヤルを設け、それを回すことで吹き出す風を生み出す。「オープンカーに乗っているときに感じるそよ風をイメージした」(新型ヴェゼル開発担当者)というそれは、「そよ風アウトレット」と名付けられた。

愛車をマツダのオープンカー「ロードスター」とする筆者にはその狙いがよくわかった。肌をフワッとなでるようなやわらかな風は、エアコンの直接風が苦手な人にも受け入れられるだろう。

そよ風アウトレット
画像=筆者撮影
そよ風アウトレット。やわらかな風が吹き出す

キャビンの使い勝手も良い。ホンダ独創のセンタータンクレイアウトによる後席座面の跳ね上げ機構「チップアップ&ダイブダウン機構」は新型にも受け継がれた。背の高いかさばる荷物を後席ドア側から出し入れできるため非常に重宝する。

後部座面の跳ね上げ前後
画像=筆者撮影
後席座面を跳ね上げれば、背の高い荷物を出し入れしやすくなる

初代のセールスポイントだった広大なラゲッジルームもフラットな床面とともに継承されている。電動開閉式テールゲートの「予約クローズ機能」や、ゲートの開閉に連動してトノカバーが引き出し/収納される「吊り下げ式トノカバー」も地味に便利だ。

広大なラゲッジルーム
画像=筆者撮影
広大なラゲッジルームも継承されている

SUV市場で強い個性を放つデザイン

2代目となる新型ヴェゼルが登場した際、マツダのSUVである「CX-5」やトヨタのSUV「ハリアー」などに似ている、という評価がなされた。たしかに画像の上では、筆者も失礼ながらその印象を抱いた。

しかし実車は似ていなかった。ボディサイドには一直線にキャラクターラインが入り、ボディ全体を大きく見せつつ(実寸は先代とほぼ同じ)、ボディ前部のグリルはボディカラーと同色にしてグリルレス感を演出する。

そして何より、初代から受け継がれた都市でもアウトドアシーンでも馴染む内外装デザインは、粒ぞろいのコンパクトSUV市場でも強い個性を放っていることが確認できた。