工藤校長が親に授ける子供の自主性を育てるコツ2

Q:「ゲームやユーチューブなどの誘惑に打ち勝つにはどうしたらいい?」

子供がゲームやユーチューブばかりで困っている、という話はよく聞きますが、具体的に何が問題なのでしょうか? 子供に伝える前に、まず親自身が「なぜ困っているのか」について自問自答してみてください。

勉強時間が減っているからでしょうか、家族の会話が奪われているからでしょうか、暴力的なコンテンツだから、睡眠時間が減っているから、さまざまな理由が思い浮かぶはずです。まずは親の悩みの本当の理由を分析してみてください。

睡眠時間が減って遅刻したり、成績が下がって自身が落ち込んでいるといった問題を子供の側も認識している場合には、解決は容易かもしれません。

たとえば、睡眠不足の場合、なかなか起きられない子に、「どうして起きるのが遅かったの?」と聞いてみてください。すると「昨日の夜ね、ずっとゲームし続けちゃったんだよね」って。「それで昨日は寝るのが遅くなっちゃったんだ」って。日頃から叱られない安心・安全な環境だったら子供はちゃんと答えてくれます。

さらに「そうか、どうしてゲームがやめられなかったの?」と問うと、「楽しすぎて、集中しすぎて、やめられなかったんだ。時間がわかんなかったんだよね」と理由を教えてくれるでしょう。そこで「そうだったんだ。楽しかったんだね。時間がわかるようにするにはどうすればいいのかな?」と徐々に解決策に向けて子供に話を聞くんです。

子供も「自分で何か工夫してみる。目覚ましでもかけてみようかなあ」といった形で何か方法を考えるはずです。もちろん、その工夫が失敗することだってあります。でもその試行錯誤こそが大事なのです。

子供を伸ばすなら、ひたすら質問を繰り返す「ソクラテス式問答法」

今挙げた、ひたすら質問を繰り返す対話の仕方を「ソクラテス式問答法」と言うそうですが、小さな自己決定の繰り返しは自己肯定感を必ず高めてくれます。台湾のデジタル担当大臣、オードリー・タン氏は、小学生の頃から父親とこうした会話をしていたそうです。

親は、自ら考えた工夫が失敗することも含め子供を肯定してやることが大切です。ついつい私たち大人は反省を求めてしまいます。もちろん自らの行動を振り返ることは大切なことですが、強いられた反省は、自分を責めることを覚えさせます。劣等感を植え付けます。

だから、“反省”という精神論ではなく、工夫するプロセスをほめて、あえて助けるのであれば、続けられる仕掛けを親子で一緒に考えてみてください。話を元に戻すと、ゲームに夢中なことで起きている問題が解決できるのであれば、ゲームを無理にやめさせる必要はありません。子供の行動を否定せず、親も子供もありのままを認めて、幸せな親子関係を築くことが一番です。

A:まず親が「なぜ夢中になってはいけないのか」を考えて
(構成=松本 史)
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