パッと寄れる原宿店、世界初の「7フロア」を持つ渋谷店
さてその東京にできた、原宿・渋谷・新宿の3店舗に違いはあるのだろうか。もともと大型店舗は日本含め世界中どこに行っても大きさと内部設計はそれほど変わらず、それによって設計費のコストダウンを計っている。しかし都市型の店舗に規格はなく、面積だけで比べると、大型店舗(約25000m2)に比べ渋谷がその約5分の1、新宿が約7分の1、原宿は約9分の1だ。
2020年6月にオープンした原宿店は、イケア特有の順路らしいものは見当たらず、2フロア吹き抜けの天井が広々としており、カフェスペースも開放的な設計。入り口に「スウェーデンコンビニ」と称されるコーナーがあり、菓子類や文具、電池やケーブルなどが細々と並ぶ。駅を出てすぐの場所にあり、「あれを買わなきゃ」と思いついた時にパッと寄れる手軽さがある。
その後11月にオープンした渋谷店は、世界のイケアでも初めての7フロアを持つビル型で、最上階にはワンフロアを独占したレストランもあり、かなりのボリューム。レストランのメニューの数は大型店より少ないが、日本風の焼鮭定食(「フィレサーモン定食 ジンジャーソース」)があるなど、いつ来ても飽きない工夫が考えられている。さらに日本のイケアではここだけのプリクラマシーン「Fotobox」もあり、友人同士で訪れた20代の女性たちが嬌声を上げながらユニークな写真撮影を楽しんでいる。
シングルペアレントや同性カップルを想定した部屋
2021年5月1日にオープンした最も新しい新宿店は、地下1階・地上3階の計4フロア。ワンフロアが比較的広く、奥まで見渡すことができる。この最新の新宿店についてイケアとしてはどのような特徴を持たせているのだろうか。
「新宿店を利用する人物像は、年齢層は比較的高め・多様性を受容し・住みたいように住む人々です。また、予想よりも家族世帯が多く来店しています。イケアの店内にはルームセットがいくつかあるのですが、これは想定する利用者に合わせてインテリアを設えています。例えば新宿店では、『シングルペアレント』『同性カップル』『外国人』『学生』などを設定した部屋があります」