日本は石炭火力プラントの輸出をやめるべき

——レノバは今後の成長分野として洋上風力事業のほかに海外事業に力を入れていますが、どのような狙いがあるのでしょうか。

【木南】いまや欧米や中国では発電所新設時のコストをみると、石炭火力発電よりも再エネ発電が安くなっています。一方、日本と東南アジアでは再エネ発電比率が低く、再エネ発電のコストも高いままです。そのため東南アジアの急激なエネルギー需要の伸びを石炭火力発電で対応しようとしていますが、それで本当にいいのでしょうか。

それでは東南アジアのCO2排出量が増えるばかりです。レノバは現地企業との共同事業として、ベトナムで144MWの陸上風力発電を建設中で今年10月に運転を開始します。そのほかにもアジアでの再エネ発電プロジェクトを複数進めていく計画です。

ベトナムクアンチ省の陸上風力事業
写真提供=レノバ
ベトナムクアンチ省の陸上風力事業

CNの実現に向けて石炭火力発電をやめようとしているのが世界の流れです。日本は石炭火力プラントの輸出をやめて、東南アジアの再エネ化に力を入れるべきではないかと思います。レノバは国内だけではなく再エネ発電で海外に進出し、東南アジアのCO2排出削減に貢献するとともに日本の有望なインフラ輸出企業として成長したいと考えています。

(聞き手・構成=安井孝之)
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