太陽光発電の工事費は8年間で半分ほどに下がった

——コスト削減に関して、どれぐらいの期待があるのですか。

【木南】はっきりしたことは言えませんが、例えば太陽光発電の経験を踏まえると工事の習熟度によるコスト削減効果は大きいです。太陽光発電のコスト削減では太陽光パネルの価格が8年間で約75円/kwから約25円/kwに下がり、3分の1になりました。太陽光パネルのコストダウンも大きいのですが、工事費も8年間で半分ほどに下がっています。

様々な場所で設置した経験知をもとにして当初多めに見積もっていた工事費が工事を繰り返すことで下がってきたのです。洋上風力も大型化と工事を繰り返すことで10年、20年で大きくコストが下がっていくことが期待できます。

——かつて日本にも風力発電をつくる会社はありましたが、その後撤退しました。東芝とGEが提携し、風力発電事業に参入しようとしているところです。政府は洋上風力発電部品の国内調達率を2040年までに60%に高める目標を掲げており、成長産業にしようとしていますね。

レノバの木南陽介社長
撮影=安井孝之
レノバの木南陽介社長

炭素繊維、ベアリング、ギアボックス……風車は日本のお家芸

【木南】世界シェアはシーメンス・ガメサとヴェスタスの欧州勢が6割ほどで、その残りをGEや中国メーカーが競っています。これまで日本では洋上風力発電の建設がほとんどなかったのでシーメンスなどは日本に興味を持っていませんでした。

ところが日本政府が2040年に最大45GWを目指すと表明したので、日本にビジネスチャンスを見出したようです。日本国内に工場などのサプライチェーンを整備しようという動きが出てきました。東芝とGEが提携するのもそうした動きの一環でしょう。

日本には風車部分に使う炭素繊維では東レや三菱ケミカルなどの強い素材メーカーがあり、風車の主要部品であるベアリングやギアボックスなども日本には競争力を持つメーカーがあります。どれぐらい洋上風力発電が建設されるかという目安ができたことで、風力発電事業に乗り出そうという企業が出てくることを期待しています。