どの店で買うか? 肉のこだわり

これほど店舗が乱立する中で、消費者は何を頼りに店を選べばいいのか。

唐揚げは、使用する原材料により販売価格が大きく異なる。低価格の商品を販売する場合は主にブラジル産のブロイラーが原料となる。低価格でなくてもそうなることのほうが多いだろう。

輸入のブロイラーを使えば鶏のボリュームも出せるし、売価も低くできる。ブロイラーは前述の通り、肉質は柔らかいが味がない。しかし、唐揚げは比較的下味をしっかりつけるので、その弱みは解消できる。

たとえば福岡近郊で展開している「博多とよ唐亭」はかなり低い値付けで、人気を博している。筆者も食べたことがあるが、安価でおいしい。全国的には知られていないだろうが、地元で約40店舗ほど出店している。こうしたローカルチェーンの安さとおいしさを楽しむのもアリだ。

高い唐揚げは仕入れルートと技術に裏打ちされている

一方、肉にこだわるなら、国産の若鶏、さらに品質にこだわるならシャモ、名古屋コーチンなどの地鶏を使うことになる。販売価格は高くなるが、調理がしっかりできればおいしい唐揚げができる。

ただし、地鶏は、肥育日数が管理された農場を選ばないと固い肉を提供することになる。例えば、名古屋コーチンには“かたい”イメージがあると思う。それが良さだと言う人もいるが、本当の良さはもちっとした食感にある。そういう名古屋コーチンを提供するには120~130日の安定した肥育日数で出荷をしなければならない。

多くの場合、出荷のタイミングが合わないため、出荷待ちとなる。すると、“かたい食感”になるわけだ。逆に、短くても味がのらない。微妙なのである。売価が高い地鶏の唐揚げは仕入ルートと調理技術が必要になる。

さらにこだわる店は油もこだわる。米油は加熱に強く、胸焼けしないので、新興の唐揚げ店でも用いることが多くなった。