人事にいた。マーケティングに知見がある。商品開発の経験がある。こうした全方位的キャリアではなく、<1>どんな事業領域で、<2>自身のどのような力を発揮したのか。そして<3>市場の将来性が高い、という点を加味すれば、独自の強みに変わります。

【ポイント2】自分の現在評価額を把握する

次は自分の「売り物」が市場でどれだけの評価(年俸)を得られているかを把握します。導き出した自分の売り物が、どれだけ社会にニーズがあるかをつかむためです。

転職サイトの求人情報に提示されている年俸金額が役に立ちます。さらに詳しく知るには、転職エージェントの適正年収診断を試す方法もあります。提供できる価値が高く、その力を提供できる人材が限られていれば、提示される年俸は高くなります。

現在の年俸と同額かそれ以下の場合には、現在の仕事を通じて『得意な分野』に磨きを掛ける必要があります。『市場の成長性と有望度』を見ながら、『強みを発揮する事業領域』をさらに絞り込んでいくように取り組みます。

客観的に自身の評価金額を知れば、現在の待遇を再認識する人もいるはずです。自分の「売り物」の評価が高まれば、頼りになる人としての存在感は高まり、人生の選択肢は増えていきます。

【ポイント3】人間関係は「数」より「質」

3つ目は自身の人的資産の棚卸しです。スマートフォンやPCの電話帳やメールアドレスのリストを使い、自身のキャリアや仕事、生活に良い影響を与えてくれる可能性のある人を洗い出します。

この時重視するのは、数よりも質です。人数が多すぎては、限りある時間の中で定期的な情報交換ができないからです。人数が少なくても、その質が高ければ問題ありません。

握手する日本の実業家
写真=iStock.com/helovi
※写真はイメージです

リスティングする際は、最も重視したい上位10人、次に重視したい30人、その後に続く50人のように分類します。候補者を検討すると、仕事の取引先や協力企業の幹部や経営者、転職していった過去の上司や部下、これまでに知り合った経営者や相談したことのある人、メンターの人たちなどが浮かび上がるでしょう。

このリストが出来たら、関係を強化したい人と定期的に情報交換を行い、相手が必要とする情報や記事などと共に、1週間に1回程度の頻度でメールなどを使って連絡するようにします。

人的なつながりを棚卸ししてみると、現在決定的に不足している人材やネットワークがあることに気づくと思います。自分が会社員であれば、知り合いが同じ業界の会社員ばかりで、経営者、他企業の管理職層、転職エージェント、自営業の人たちなどとのつながりが希薄な人がいると思います。