逆に言えば、居心地の良い社内の人たちとだけ交流している無意識の行動が、気づかないうちに人生のチャンスを逃している恐れがあるのです。もちろん援助してもらうことだけ考える利己的な人に、価値ある人との縁は生まれません。自分自身も人から頼りになる存在になっていることが必要なのです。

実力のある人たちと懇意になるには、どうすればいいでしょうか。大きくわけて4つのポントがあります。

【ポイント1】自分の売り物と価値を見える化する

人間的にいかに「良い人」であっても、力のある人たちはそれだけで懇意になってはくれません。相手にはない独自の力が欠かせません。

まずは自分自身の「売り物と価値」を把握する必要があります。

過去の職歴や取り組んだ仕事を洗い出し、自分のために職務経歴書をつくってみてください。これまでの仕事を通じてどんなノウハウや知見を磨いてきたかを自身で把握すれば、他の人に自分の売り物を説明できるようになります。

職務経歴書をつくってみて、これだ! という「売り物」が見つからない人は、これまでの仕事の取り組み方や意欲に原因があります。今から仕事の取り組み方を早急に見直すべきです。

自分が持つ付加価値の高い能力を見つけるために、最適な取り組み視点があります。それは『これまでに磨いてきた得意な分野』×『強みを発揮してきた事業領域』×『市場の成長性と有望度』=自分の付加価値(スペシャリスト)にする、という発想です。

この時重要なのは、過去に取り組んだことだけでなく、今後成長が期待できる市場で活躍できる点を分析視点に加味することです。

自分の「売り物」はこれまでの仕事の掛け合わせ

例えば、こんな掛け合わせが有望です。

●食品メーカーで冷凍食品を担当し、コンビニエンスストア向けに単身者向け冷凍食品の商品開発を担ってきた人
→食品メーカーの冷凍食品担当×コンビニエンスストア向け商品開発×高齢化と単身世帯の市場=高齢者や単身世帯の増大をキャッチアップするコンビニエンスストア向け冷凍食品開発のエキスパート
●IT系企業の人事で中途採用に携わった期間が長く、そこで採用される人とそうでない人を見分ける眼を養ってきた人
→IT系企業での中途採用の実績×活躍できる人材を見極める眼力×人生100年時代の社会の到来=IT業界で活躍する人材を中途採用するスペシャリスト
●B2Bのビジネスソリューションを手掛ける企業で、マーケティングのノウハウを研鑽し、EC市場で発揮してきた人
→マーケティング力×B2Bのビジネスソリューション×伸長するEC市場=B2BのEC分野に強いマーケティングのプロ

このように仕事の掛け合わせによって独自の付加価値づくりとそのアピールが可能になります。