「アジアの時代がやってくる」は幻想
コロナ禍であることを差し引いても、Jリーグは、観客動員数、興行収入、試合内容、メディアへの露出度など、どれをとっても頭打ちであり停滞感が漂っているのだ。
残念ながら、サッカーを含む日本のプロスポーツ市場は、①米国ほど国内市場が大きくはなく、②欧州ほど魅力ある近隣諸国にも恵まれておらず、③中国や中東ほど資金力もなく、④アジアほど市場の若さと成長性もないのが現実だ。
Jリーグそのものやクラブチームの規模の小ささが、さらなる飛躍を阻害しているともいえ、実際、欧州主要リーグやビッグクラブに比べてその規模は、大きく劣っている。
「川崎フロンターレ対広州恒大」が世界で人気になるとは思えない
こうした状況下、必ず出てくる話が、「これからはサッカーでもアジアの時代、アジアチャンピオンズリーグが欧州CLを上回るはず」というものだ。本当だろうか。経済力とプロスポーツはある程度リンクするので、アジアが大きな市場になるのは確かだろうが、日本を含めアジアのチームやリーグが世界的な人気を得るのかどうかは別だ。
例えば、「日本対カンボジア」の代表試合や、「川崎フロンターレ対広州恒大(中国)」の対戦が、「イングランド対ドイツ」や、「レアル・マドリード対ユベントス」の対戦よりも、世界規模で人気化し、観戦され視聴されるとは、現時点では全く思えない。
理想はともかく、アジアの時代は幻想であり、日本人として贔屓目にみても、当面儲かることも人気化することもないだろう。
外国人選手枠の撤廃、外資系資本の受け入れを
もちろん、Jリーグもただ座している訳ではない。今年4月に「リプランニング推進サポートチーム」を発足させ、2030年の実現を視野に、リーグの在り方などを議論していくという。
Jリーグ側は否定しているが、J1の上位に新たにリーグを創設するいわゆる「プレミアリーグ構想」などによって日本版ビッグクラブを育成するといった大胆な改革をしない限り、じり貧状態は続くと考えられる。富裕層を呼び込むVIPラウンジやVIPチケットの導入、放映権やライセンスの管理、スマホ化、バーチャル化、有料コンテンツの充実なども必要となろう。
専用スタジアムによる集客力アップも必要だ。鹿島、大阪、京都などでサッカー専用の次世代型のスタジアムが登場しているのはいい流れだ。宿泊施設、ショッピングモールや遊園地併設など、プラスαの集客力が求められることになる。
そしてもっとも効果があるのが、外国人選手枠撤廃と、外資系オーナーの容認ではないだろうか。前者は、欧州など海外で活躍する一流プレーヤーを増やすことによるJリーグ全体の魅力度向上やレベルアップにつながり、後者は、豊富な資金力による選手獲得やスタジアム建設などが期待できる。国内資本からみても外資からみても、投資対象として魅力あるプロリーグになることが必要なのだ。