「儲かる」「ワクワク」への欲望は止められない

いずれにせよ、今回は頓挫したが、ビジネスの観点からいずれスーパーリーグは実現することになろう。なぜそう言えるのか。理由は単純だ。儲かるからであり、ワクワクするからだ。例えば、「レアル・マドリード対ポーランドの優勝チーム」の試合よりも、「レアル・マドリード対ユベントス」の試合を見たくはないだろうか。

実際、欧州ビッグクラブのグローバルな集客力は絶大だ。コロナ前までプレシーズンマッチとして、米国各都市や中東、中国、シンガポールなどで開催されてきた、欧州ビッグクラブ同士の対戦や大会は、公式戦でもなく、チケットも高額であるにもかかわらず、満員御礼だ。日本でも、コロナ前の2019年7月に埼玉スタジアムで「バルセロナ対チェルシー」の試合などが行われ、高額にもかかわらず成功している。

スタジアムで歓声を送る人々
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儲かるのか、ワクワクするのか、という目線から考えれば、スーパーリーグはうまい仕組みである。今までゲームソフトの中でしか実現しなかった、または何年かに1回しか実現しなかった対戦を何度も見ることができる。さすがは世界のスポーツ界を牛耳る欧州だ。新しい制度やルールやゲームの創造に長けている。

スーパーリーグによって「ワクワクする」→「行きたい、観たい」→「集客力・視聴率アップ」→「入場料・放映料アップ」→「収益力アップ」→「ますます魅力的に」という好循環が実現することになる。人々のスーパーリーグを見てみたい、儲けたい、という欲望を止めることはできないはずだ。

なぜJリーグの存在感が薄くなってきたのか

Jリーグはどうだろうか。

1993年に華々しく誕生したJリーグも、今年で28年目を迎えた。地域密着という理念は大成功したといえよう。

しかし、今どこのチームが首位で、どんな選手が活躍しているのか、を具体的にスラスラ挙げられる人は多くはないのではないだろうか。以前に比べれば、話題性に乏しく、存在感が薄くなっていないだろうか。

無論、Jリーグには熱狂的なサポーターがいる。だが、その他ファンとの乖離かいりが進んではいないだろうか。同じユニフォームで同じ応援歌を歌う熱狂的なサポーターの排他的な雰囲気が、ファミリーで観戦する、会社帰りふらっと見にいく、というニーズを遠ざけていないだろうか。これでは、アンチや無関心層も多くなる。より多くのファンを生みプロリーグとして発展していくことはできなくなろう。