看護師がリスペクトされないなんて
看護師の置かれた厳しい状況を伝えたのは米大手のAP通信だ。通信社の記事はニューシス(韓国)などの海外通信社から米地方紙、ネットまで広く掲載される。
それによれば、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会が500人の看護師派遣を要請したのに対し、全国的に看護師が足りない中、人命を軽視し医療現場を無視した無神経な行為だと日本で怒りと批判が湧き起こっていると伝えた。
筆者の周囲のアメリカ人はこの記事を読んで驚いていた。なぜならこんなことはアメリカではありえないからだ。
アメリカの看護師は医師以上にリスペクトされる存在で、病棟を仕切るのも医師ではなく看護師だ。年収は平均850万円で、2020年のパンデミックで看護師不足が深刻になった時には、駆けつけた看護師に対し、最高で1週間に100万円が支払われたケースもある。
尊重されるのは待遇だけではない。ニューヨークでは毎晩7時になると、街中の窓という窓から、看護師への賞賛の拍手が巻き起こり、オンラインで行われた多くの重要なイベントにも看護師の苦労が紹介されたり、招待客としてフィーチャーされたりした。
もちろん過酷な労働であることに変わりはないが、コロナ前に比べて看護師志望の学生が増えたという良いニュースもある。
ボランティアにしても看護師派遣にしても、日本では彼らへの感謝やリスペクトがなさすぎるという印象を与えたのは間違いないだろう。
「オリンピックは開催すべきではない」
切り口がちょっと違うのは、若者が読むスポーツのニュースサイト「デッドスピン」で、聖火リレーの一部が白い幕で隠されて行われていることや、観客が一部のエリアで締め出されていると報道し驚きを与えた。
また、聖火リレーの関係者から6人の感染者が出たことも伝え、観客の締め出しは「一般人を守るためなのか、それとも抗議行動を防ぐためなのか」と疑問符をつけた。そして、ここまで一般人を締め出す聖火リレーは意味がない、開催自体を見直すべきではとコメントした。
そしてはっきりと「オリンピックは開催すべきではない」と言い切ったのが、サンフランシスコの有名紙「サンフランシスコ・クロニクル」のスポーツコラムニスト、アン・キリオンだ。
「アメリカはワクチンが行き渡り、緊張状態が緩和されてきたかもしれないが、インドをはじめ世界的にコロナが深刻化する中、今は世界的な巨大イベントを行う時期ではない。もしパンデミックから何かを学ぶべきとしたら、人々の健康よりも経済を優先することはできないということだ。それは必ず裏目にでる」とコメントした。