方針転換はできるのか

その一方で、コロナ感染が収束したとしても、飲食や宿泊などの需要がコロナ禍以前の水準に戻るとは考えづらい。人口の減少によって韓国経済は縮小均衡に向かい、内需の盛り上がりは期待しづらい。海外事業を強化したり、海外企業との提携や合弁を進めたりすることのできる体力を持つ企業と、そうでない企業の長期存続力の差はこれまで以上に拡大する可能性が高まっている。

見方を変えれば、韓国経済の輸出依存度が高まる一方で、内需関連企業の景況感は弱含みの展開に向かいやすい。その結果、若年層の雇用・所得環境の厳しさも追加的に高まるだろう。

また、年初来で韓国の物価が上昇基調にあることも軽視できない。今後、物価が持続的に上昇するとの見方が増えれば、韓国の金利には上昇圧力がかかるだろう。それは、不動産価格の下落や家計の債務返済能力の低下の要因となり、景気を下押しする。借金をして株式投資を行う個人が増えていることも軽視できない。

革新派の政治家として支持を得てきた文氏にとって、短期間で経済政策の方針を労働組合から企業の競争力重視に修正し、実行することは難しい。K字型の経済展開のリスクにどう対応するかは、2022年3月の大統領選挙の主要な論点の一つとなるだろう。

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