対日強硬姿勢が自国企業の逆風に

見方を変えれば、サムスン電子などは、安全保障面への不安を理由とするわが国の対韓輸出管理手続きの強化や、世界的な半導体部材の需給逼迫の影響を回避するために自力で供給網を整えるだけの組織を整備してきた。わが国企業にとっても、サムスン電子などは重要顧客であり、需要拡大が期待できる国に投資を行い、生産設備を運営するメリットは大きい。

ソウル
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なお、世界最大手のファウンドリーである台湾積体電路製造(TSMC)が主要工場を設ける台湾は韓国以上にわが国企業との関係強化を重視している。

文大統領は、外交面で北朝鮮との融和を重視する一方で、わが国に対しては厳しい姿勢をとってきた。その政策スタンスも、本邦企業との取引関係をより重視する韓国企業の事業運営には逆風だ。

回復傾向も…二極分化のリスク

今後の展開を考えると、短期的に、韓国経済は全体として相応の好調さを維持するだろう。経済指標を確認すると、輸出の増加に加えて、製造業のPMIは景気の拡大と縮小の境目である50を上回って推移している。それは、中国や米国など外需に支えられて、足許の韓国の景気が緩やかに回復していることを示す。

世界的な半導体の不足が深刻であることを加味すると、短期的に半導体の輸出を中心に韓国経済は堅調さを維持するだろう。ただし、少し長めの目線で今後の展開を考えると、韓国経済の不安定感は高まりやすい。そう考える要因の一つが、経済の二極化(K字型の経済展開)の懸念だ。サムスン電子のように自力で海外企業との連携を強化してサプライチェーンの強化などに取り組むことのできる企業は、これまで以上に外需の獲得を目指すだろう。