ベテランほど「説明のワナ」に陥りやすい

これは、ある予備校のベテラン講師から聞いた話です。

その方が言うには、「自身の知識や理解度が未熟なときのほうが、生徒の気持ちがわかった」と。年齢を重ねていくうちにご自身の知識や理解度が増して、「逆に、生徒が何がわからないのかが、だんだんわからなくなってきた」と話されていました。

私は、その先生の学力レベルには到達していないのですが、40歳を過ぎてその感覚がなんとなくわかってきました。

要は、自分の知識や理解度が上がれば上がるほど、相手のレベルから遠ざかってしまい、より一層のレベルのギャップができてしまうのです(図表1)。

『神わかり!頭のいい説明力』
神わかり!頭のいい説明力』(PHP研究所)より

ただ、自分の知識や理解度のレベルが上がっていくことは決して悪いことではありません。むしろ率先して行っていくべきであり、大切なのは、そこで生まれてしまったギャップをどう埋めていくかなのです。

わかりにくい説明を解消する「たった1つのルール」

このように、自分と相手の知識や理解度にギャップがあるとき、説明によって解消するための必要条件とはなんでしょうか?

それは、1つしかありません。“理解の階段”と私が呼んでいるものがあります(図表2)。

『神わかり!頭のいい説明力』
神わかり!頭のいい説明力』(PHP研究所)より

説明する人はその“理解の階段”をつくることが絶対に必要となります。この理解の階段を自在にコントロールすることができれば、聴き手の満足度は一気に高まります。

私の場合は、“理解の階段”を徹底的に意識したことで、約3カ月で受講生の数が倍となるなど、支持者が一気に増えました。

それでは“理解の階段”とは、具体的にどんなものでしょうか。