「パイプ」の論理にだけ身を委ねていいのか

日本は、ミャンマー軍幹部らと「パイプ」を持つ。ただそれを、外交官が秘密の外交術で特殊技能を発揮して海外で作り出したパイプ、といったふうに勝手にロマン主義的に捉えるとすると、状況を見間違えるかもしれない。「パイプ」は、個々の外務省職員のような存在を超えて、日本国内各所に「金」とともに太く縦横無尽に伸びている。「パイプ」とは、個々の外交官が、個人的意見で論じていい政策論を超えたものなのである。

だが果たして、だからといって「パイプ」の論理にだけ身を委ねていれば、日本は絶対に安泰だろうか。日本の納税者が不当に損をする事態は絶対発生しない、と保証している人物がどこかにいるだろうか。

ミャンマー問題は、さまざまな日本の外交問題を照らし出している。旧来型の護送船団方式のODAの「パイプ」のあり方も、その問題の一つであろう。

(*1)東洋経済ONLINE「沈黙する『日本ミャンマー協会』が抗議浴びる訳」(尾崎孝史、2021年4月22日)
(*2)ロイター「特別リポート:急接近する日本とミャンマー、投資加速の舞台裏」(2012年10月5日)
(*3)「日本ミャンマー協会 役員名簿

【関連記事】
日本にとって「韓国の異常な反日」が大チャンスである理由
中国人の尖閣諸島上陸に「遺憾」しか言えない国のままでいいのか
「商社3位が定着」伊藤忠、三菱商事の後を追う三井物産の社長交代に秘められた意図
「中国はコロナの発祥地ではない」WHOの報告書すら歪める習近平政権の横暴さ
「選挙に行っても、世の中変わらない」中国人が独裁政治を受け入れる本当の理由