どうすれば日本経済は復活するのか。経営共創基盤グループ会長の冨山和彦氏は「日本経済に必要なのはGAFAなどのグローバル企業ではない。重要なのはGDPの7割を占め、ローカルで商売をしているL型企業だ。L型企業のデジタル化を進め、人手を集めることで日本経済は活性化していく」という――。(第1回/全5回)
※本稿は、冨山和彦、田原総一朗『新L型経済 コロナ後の日本を立て直す』(角川新書)の一部を再編集したものです。
グローバルIT企業は雇用を減らし格差を生む
【田原総一朗】冨山さんは今の時代を代表するGAFAのようなグローバルなIT企業は、雇用を生んでいないし、その結果として中産階級がやせ細ってしまうと言った。
端的にいえば格差社会だ。じゃあ、どうしたらいいんだという話になる。日本型企業の代表格だった企業はどんどん凋落していて、雇用の絶対数は減っていく。そうなると、持っている人と、持っていない人の格差は広がるし、地方も衰退していくまま。日本はこのままじゃダメだけど、何もできないのか。
【冨山和彦】たしかに日本型企業の代表格だったグローバル市場で戦う企業、私の言葉で言えばG型企業と呼んでいるものですが、そうした企業が今後大きな成長をすることは難しいでしょう。特に国内で大きなGDPや大量の中産階級雇用を生むという意味では。
デジタル化に関しては、もう多くの大企業で取り組んでいて、業務改善的な部分では遠からず世界に追いつくでしょうし、経営の多様化についても、行わない企業は衰退していくことは目に見えているので、どこかで改革は行われます。それでも伸び代は大きくありません。
日本のG型企業が生み出すGDPはせいぜい3割程度で、今後何かイノベーションが起こって30%が32%になろうが、33%になろうがマクロで見た時の影響はさほど大きくない。現実に雇用が劇的に増えるということも考えづらい。G型企業で雇用されている人々は全体で見れば2割程度で主に国公立や中堅以上の私大卒が中心となっています。彼らの雇用は新しい技術革新で減っていく可能性すらあります。