自由を詠んだ歌だが、同時に切なくもなった
皇室の恒例行事である「歌会始の儀」が3月26日、2カ月遅れで開かれた。お題は「実」。天皇陛下は「人々の願ひと努力が実を結び平らけき世の至るを祈る」、皇后雅子さまは「感染の収まりゆくをひた願ひ出で立つ園に梅の実あをし」。お二人とも、新型コロナウイルスの収束を願う気持ちを詠んだ。国民の気持ちと重なる歌なのだが、それよりも注目されたのが秋篠宮家の長女眞子さまの歌だった。
「良き便り」または「誠実」だという烏瓜の花言葉に「深まる秋」などを重ね、小室圭さんへの愛や結婚を読み解く。そんな記事が多かった。コロナ禍で国民と直接触れ合えない皇室にあって、小室さんだけが消費される。それが昨今の「国民と皇室」のリアルなのかもしれない。
他方で、秋篠宮家の次女佳子さまはこう詠んでいる。
歌については全くの素人だが、一読して、自由を詠んだ歌だと思った。そこに佳子さまの強さを見て、同時に切なくもなった。長く皇室をウオッチしてきたからだ。
「幼い頃は手紙にスマイルの絵を描いてくれた」
歌から浮かぶのは、綿毛がフワフワと舞っている光景。が、単に舞っているのではない。「実を割りて」「空へと飛ばす」という行為の結果、舞っている。意思を持って行動する。それが佳子さまで、空とは自由の象徴。だから、この歌は自由を求める意思の表れ。そういう歌で「歌会始」の勝負に出る。佳子さま、なんて凛々しいんだ。私はそう受け止めた。
私の“佳子さま贔屓”の始まりは2014年12月、成年を迎えるにあたっての記者会見で、佳子さまが紀子さまをかばったのだ。質問は、「ご家族はそれぞれ、どのような存在ですか」。無難な答え方もあったはずだが、佳子さまはまず秋篠宮さまについて語り、それから紀子さまについてこう語った。
「母は、週刊誌などではさまざまな取り上げ方をされているようですが、娘の私から見ると、非常に優しく前向きで明るい人だと感じることが多くございます。幼い頃は手紙にスマイルの絵を描いてくれたことが、よく印象に残っています」。