コロナ禍で広がる日本国内での「幸福度格差」

「World Happiness Report 2021」では、世界的に新型コロナウイルス感染症の幸福度への影響が限定的であったとされていますが、日本国内に目を向けると「国内での幸福度格差」が広がっていることをご存じでしょうか。

99.9%は幸せの素人』の共著者である前野隆司慶應義塾大学教授が、1回目の緊急事態宣言が出されていた2020年のゴールデンウィーク前後に473人のビジネスパーソンを対象に「幸福度」に関するアンケート調査を実施しています(「みんなで幸せでい続ける経営研究会」調査。参考記事はこちら)。

コロナ禍において「幸福度は上がりましたか?」という質問に42.5%の人が「上がった」と回答しているのに対し、「変わらない(39.1%)」「下がった(18.4%)」を合わせると57.5%。まさに幸福度の分断が始まっていました。

「幸福度が高まった」とする人が挙げたその要因は、テレワークになって家族との時間が増えたとか、人とのつながりを実感したというものでした。一方、幸福度が下がった人たちは、その要因として、「孤独感を感じる」など、人とのつながりを実感できなくなったことを挙げています。

やはりここでも、日本人の幸福度を高めるキーワードに「人とのつながり」が出てきます。

赤いハートを持つ男女の手元
写真=iStock.com/Dobino
※写真はイメージです

「人とのつながり」を実感できる2021年の日本へ

人生の選択の自由度は社会課題でもあり、私たち一人ひとりの力でどうこうできるものではないかもしれません。しかし、日常で「人とのつながり」を大切にすることならば、私たちの努力でも十分可能です。

先に紹介した「ハーバードメン研究」においても、人の幸福度に最も影響を与えるのは「温かい人間関係」だと結論づけています。

それでは、温かい人間関係=良好な人間関係とは、いったいどのようにすれば築くことができるのでしょうか。実はこれも科学的に明らかになっています。

温かい人間関係を築くには、「人を愛する力」が最も大きな影響を与えます。これは、精神論ではなく科学的な話です。「人を愛する力」がある人は、相手に興味を持ち、相手の話を聞くようになる。つまりは、相手を受け入れやすくなるのです。

「World Happiness Report 2021」においても日本が海外と差をつけられていた「寛容さ」につながる力だといえます。

そして、「人を愛する力」の磨き方も科学的に明らかになっています。人を愛する力は「幸せホルモン」といわれる「オキシトシン」の影響を受けます、つまりは、「オキシトシン」が分泌される行動を取ると自然に人を愛する力が身につき、最終的に寛容さも持てるようになって、良好な人間関係が築かれるのです。