介護者の中で男性は4割を占める

総務省の「2017年就業構造基本調査」では、介護をしている者は627万6千人で、うち男性は232万2千人(37.0%)、女性が395万5千人(63.0%)となっている。また同省の「2016年社会生活基本調査」では、普段介護している人は698万7千人で、男性が277万6千人(39.7%)、女性が421万1千人(60.3%)、介護者の中で男性はもう4割を占める、とされている。厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると「同居の主たる介護者の3人に1人は男性」だが、これら総務省調査はそれをさらに上回る実態を示している。

高齢者
写真=iStock.com/KatarzynaBialasiewicz
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さらに「2016年社会生活基本調査」では、介護者のうち調査当日に実際に介護・看護を行った人の数とその平均時間(行動者平均時間)を捕捉している。介護・看護時間の把握を開始した1991年以降、男性はおおむね横ばい、女性はおおむね減少傾向で推移しているが、2016年調査は男性が2時間32分、女性が2時間28分と初めて男性が女性の行動者平均時間を上回ったことが記されている。これまでになかったデータである。長らく稼ぎ手や長時間労働を背景に「ケアレス・マン」として家庭責任不在とされてきた男性たちの、介護実態から見えてくる変化である。

旧態依然の介護政策に嘆く介護者

では、私たちの介護政策は「介護者の多数派は働いている」という実態を認識しているのであろうか。否だ、と即答したい。働きながら介護している人がいないわけではないが、主たる介護者の多くは介護に専念しているという、今では全くの幻想にすぎない介護のための豊富な家族資源の存在を前提とする旧態依然の介護政策がはびこっているのではないか。

上記のような介護者の大多数は有業者という介護実態と、いざ介護が始まれば介護に専念できる家族の存在を標準とする政策的前提との狭間で、「ワーキングケアラー」たちの仕事と介護の両立の困難さは極まってくる。介護者の嘆く声を拾ってみよう。

【図表3】親を介護する息子たち

出所=『男が介護する』

図表1は有業者総数に占める介護する人の占める比率はどれくらいになるか、図表2は介護する人全体の中で有業者数はどれくらいいるか、という視点でこの調査のデータを再構成したものだが、驚きの実態が浮かび上がる。

図表3は私たちが2006年に行った男性介護者への調査(『男性介護者白書』に所収)に記録された「一人で親を介護する息子たち」の仕事と介護をめぐる実態である。