見いだした「3つのブランド」
必ずしも立派なものでなくていい。「これが千葉ロッテマリーンズだ」と誇れるものは何だろう。それらをとがらせていけば、「マリーンズブランド」を高めることにつながる――私たちは自由に話し合いました。
その結果、いくつかの「ブランド候補」を見つけることができました。
・日本一の熱い応援
・勝利のときのコール&レスポンスの「WE ARE!」は千葉ロッテマリーンズの名物
・習志野高校吹奏楽部の美爆音応援
・ピンストライプのユニフォーム
・交流戦の風物詩ともいえる「他球団挑発ポスター」
そこから次の3つのブランドを考えました。
1つ目は「意外性」。
当時の千葉ロッテマリーンズは「Bクラスの常連」であり、決して強いチームではありません。
しかし2005年には、レギュラーシーズンを2位で終えながら、プレーオフでレギュラーシーズン1位の福岡ソフトバンクホークスを下して逆転優勝。その勢いのまま、日本シリーズでは阪神タイガースを破り、日本一の座に輝きました。
5年後の2010年には、シーズン3位でありながらクライマックスシリーズを勝ち抜き日本シリーズ進出。「プロ野球史上最大の下克上」を合言葉に、セ・リーグ王者の中日ドラゴンズを下し、日本一に上り詰めました。
「千葉ロッテマリーンズがクライマックスシリーズに進出すれば、何かが起こる」
「5年に1度、何かが起こる」
この「意外性」は十分、ブランドになり得ると考えたのです。
また、1998年には「18連敗」というプロ野球史上最長の連敗を喫しながら、熱いファンは一切、離れませんでした。これもある意味「意外性」として、球団は誇りに思っています。
「千葉ロッテマリーンズの応援歌」は甲子園で最も多く歌われている
2つ目は「日本一の応援」。
声と手拍子を中心とした独特の応援スタイルで、たとえリードされていても決してあきらめない応援の威圧感など、千葉ロッテマリーンズの応援は多くのプロ野球ファンから日本一と言われるとともに、相手チームにしばしば恐れられているほどです。そして、なによりも甲子園の高校野球の応援で最も多く採用されているのが千葉ロッテマリーンズの応援歌です。
くわえて、甲子園の「美爆音」応援で知られる、習志野市立習志野高校吹奏楽部も定期的に千葉ロッテマリーンズの応援に駆けつけてきていただいています。
3つ目は「突飛なファンサービス」
千葉ロッテマリーンズの交流戦の風物詩ともいえる「他球団挑発ポスター」は、私が社長に就任する前年の2013年以前から始まっていたものです。他球団の協力やファンの盛り上がりのおかげで話題になったこともあり、「新たなファンサービスを千葉ロッテマリーンズのブランドにしよう」という機運が社内でも高まりました。
「みんなで『恋するフォーチュンクッキー』」「マリンフェスタ」「マリーンズカンパイガールズ」「謎の魚」……そのどれもが、「突飛なファンサービスを千葉ロッテマリーンズのブランドにしよう」という社員たちの気概の成果なのです。
「日本一の応援」
「突飛なファンサービス」
私たちはこれらを「マリーンズブランド」と定義し、磨きをかけ、ファンやスポンサーにアピールしていくことになります。