※本稿は、山室晋也『経営の正解はすべて社員が知っている』(ポプラ社)の一部を再編集したものです。
球団運営は「広告代理店の経営」と同じ
「ロッテブランドを高めてほしい」
オーナーからいただいた「3つの指令」のひとつです。おそらく、日韓をまたぐ巨大なコングロマリットのロッテグループのブランド価値の向上という意味での発言だったと思いますが、子会社の立場で全社のブランディングは困難であるため、私なりに千葉ロッテマリーンズのブランド価値向上に置き換えました。
選手が入れ替わっても、監督・コーチが入れ替わっても、千葉ロッテマリーンズというチームのファンが変わらずファンであり続けたいと思い、新たに野球を見始めた人が「千葉ロッテマリーンズを応援したい」と思うような何か。それが千葉ロッテマリーンズの「ブランド」なのでしょう。
「マリーンズブランド」を高めるも何も、そもそも「マリーンズブランド」とは何なのか。社員に聞いてみても、自覚している人は誰もいませんでした。
そのためまずは「マリーンズブランド」を明確にすることからのスタートでした。そのような状況を知ってか知らずか、外部のコンサルティング会社が「御社のブランディングを手伝います」と営業をかけてきましたが、私はすべて断りました。
球団運営とは、「広告代理店」のようなものだと私は考えています。「千葉ロッテマリーンズ」というチームをコンテンツ化し、グッズを製作して販売したり、球場やユニフォームに広告を出稿してもらったりしているわけですから、「広告代理店」というニュアンスもわかっていただけるでしょう。
「千葉ロッテマリーンズ」というコンテンツを商品としている広告代理店が、「千葉ロッテマリーンズ」の価値がわからず、ブランディングを外部のコンサルタントに任せる。こんな笑い話はありません。
私たちは自社内で、「マリーンズブランドとは何か」を話し合うことにしました。