失敗を恐れずに、英語でどんどん話しかけている

【三宅】いまカナダでは、どのようなかたちで英語の勉強をされているんですか?

【宮原】とくに決まったルーチンがあるわけではないですが、家にいるときは英語の小説を読むようにしているのと、外に出るときはソーシャルディスタンスを保ちつつも、なるべく英語で会話をする機会を増やすようにしています。

【三宅】いい心がけですね。

【宮原】根底には、やはり「海外の選手ともっと話がしたい」という思いがあります。リスニングは得意なので、相手の言うことはだいたい聞き取ることができるのですが、いざ自分がしゃべる番になったとき、言いたいことがパッと出ないのが本当に嫌で。

これはもう自分からどんどん話しかけていって、場数をこなすしかないと思うようになりました。

【三宅】文法や単語、発音が多少怪しくても、ガンガンいくわけですね。

【宮原】そうです。私のかつての競技スタイルではないですが、英語でパーフェクトを目指して減点を気にしていたら、いつまでたっても話しかけることができませんし、失敗を恐れて話しかけなかったことを後悔したくないんです。そこはもう失敗する前提でチャレンジしていくしかないのかな、と思っています。

【三宅】それに、会話では相手も一生懸命意味を理解しようとしますから、完璧な英語でなくてもけっこう通じますからね。

【宮原】本当にそうなんです。

【三宅】では、スピーキングもだいぶ慣れましたか?

【宮原】そうですね。私は基本的に寡黙なタイプなのですが、ようやく最近、自分から英語で話しかけることに対して、抵抗がなくなった気がします。すると面白いことに、日本語で話をしているときも、「ここはちょっと自分の意見を入れてみようかな」と思えるようになったんです。

引退後の夢は、スポーツドクター

【三宅】宮原さんはまだお若いですが、選手生活が終わったあとのことは考えていらっしゃいますか?

【宮原】いまはスポーツドクターに興味があって、時間がかかってもいいのでしかるべき勉強をして、スケート界やスポーツ界に貢献できれば良いなという夢はあります。

【三宅】ご両親もお医者様でいらっしゃいますからね。宮原さんの真面目さとストイックさがあれば、どこの医学部でも行けるような気がします。

【宮原】陸上競技に詳しいスポーツドクターは大勢いるのですが、フィギュアスケートという、「靴を履いて氷の上を滑る」という特殊な世界に詳しいスポーツドクターが少ないんです。その点、スケーター出身であれば、選手にしかわからない微妙な足の使い方とかもわかるので、私なりに貢献できることはあるのかなと思います。

まだ具体的なことは考えていないですが、引退したら、どの道、海外留学したいという気持ちがあるので、何らかのかたちで勉強をやり直したいと思っています。