感情を素直に話した方が「おもしろい」会話は生まれやすい

では、行動を異常な方向にエスカレートさせずにおもしろい話ができるのでしょうか。例えば、先ほどのA先生とあなた(夫)がその後に再会した時の、次の会話を見てみましょう。

【A先生】「こんにちは! また会いましたね」

【あなた】「こんにちは。この前、偶然出会って以来ですね。先生が教えてくださったカップラーメンの食べ方、すごく印象に残ってます」

【A先生】「そうですか! でも実は、悲しいお知らせがありまして……」

【あなた】「どうしたんですか?」

【A先生】「いや、医者の不養生っていうやつですかね、健康診断を受けたらちょっと血糖値が高く出てて……。だからカップラーメンも、あの時は毎日食べてたんですけど、今はみなさんのイメージとは違って、全然食べてないんですよ……」

【あなた】「そうなんですね。でも、それがいいかもしれませんね」

【A先生】「そうですよね。だから最近は、さみしいんですが、1日おきぐらいにしています」

【あなた】「えっ? 先生、それでも十分、いっぱい食べてますよ(笑)!」

【A先生】「え? あ、そうですよね(笑)普通の人にとっては、そうなんでしょうね〜」

【2人】「(一緒に笑い合う)」

自分のことを淡々と話す

ここでA先生は、カップラーメンを食べる頻度が減って、今は毎日食べられないという話をしただけです。行動はエスカレートしていないですし、むしろ抑えてましたという話です。その事実を、心底悲しそうに話しているだけです。

しかしよくよく話を聞いてみると、減らしてもなお「1日おきに食べている」というではないですか。てっきり、もっと減らしていると思ったあなたは思わず、「十分いっぱい食べてますよ!」とツッコんでしまいました。

このように、A先生は自分の話を淡々としているだけですが、その中で聞いているあなたが「異常な行動が、あたかも普通に行われている」と感じる瞬間に行き着いてしまいました。ここでは、A先生に行動を無理やりエスカレートさせようなどという意図がなくても、おもしろい話にたどり着いています。

むしろ、A先生が心底悲しそうにしている分、そのギャップが際立っていないでしょうか? A先生が「カップラーメンを前ほど食べられなくなったんですよ……」と話すその姿勢が自然だからこそ、後々でそのギャップがより際立つわけです。