「こうなるはずだ」という思い込みが強すぎる

こうした人が相手のイヤな態度や反論をまともに受け止めてしまうのはなぜでしょうか? 1つ考えられるのは、「こうなるはずだ」という思い込みが強すぎるのではないか、ということです。

「私の考えに賛成してくれるはずだ」とか「あの人なら言う通りに動いてくれるだろう」といった思い込みです。自分が正しいという思い込みでもあります。

予想しなかった反論に出くわしたり、考えもしなかった提案が出てきたりすることはいくらでもあります。自分の味方だと思っていた人から批判されることもあります。

そうなると、思い込みの強い人はもうダメです。批判も異論もすべて、自分への悪意と受け止めて、感情的になってしまうからです。

本来であれば、自分の意見は1つの見方に過ぎなくて、「私はこうしたほうがいいと思う」というだけのことです。それに対して別の見方が出され、「さあ、どうかな」と議論が始まります。

ところが思い込みの強すぎる人は、「結論はこれしかない!」と考えてしまいます。いわば心の狭い状態ですから、相手のちょっとした皮肉や悪意に出合うとたちまち感情的に反応してしまうのです。

感情をコントロールできない上司と部下の不幸

感情的になりやすい人は、「またやってしまった」と思うことがしばしばあります。たとえばA課長と部下のB君は、よくこんなパターンになります。

「A課長とはどうしても合わない。ふつうに受け答えしていても、かならずカチンとくるような言葉をぶつけられてしまう」。だからB君は、名前を呼ばれただけで「さっさと話を済ませよう」と考えます。

「B君と向き合っていると、だんだんいらだってくる。あのノラリクラリとした言い訳を聞いているうちに腹が立ってくる」。だからA課長は、問いただしたくても「今日は事務的に済ませよう」と考えます。

両者とも「感情的にならない」ように注意しているのですが、実際にはなかなかうまくいきません。感情コントロールのヘタな人は、「だって悪いのは相手なんだから」と、いつも同じパターンを繰り返すのです。