※本稿は、木名瀬博『「当たり前」を極める人だけがビジネスチャンスをつかむ』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
「面倒くささ」にビジネスチャンスあり
レシートデータを活用したマーケティング支援事業という「宝の山」に気づいても(第1回「『“デキる非正規”の生産性は正社員の4倍』アサヒビールが数値化して明らかになった“驚きの結果”」参照)、それをビジネスにしたいと誰も思わないのは、そこに面倒な障壁があるからです。
たとえば、濁った水も処理を施せば飲み水になることはみな知っていますが、そのためには多くのプロセスが必要だとわかったら、自分でやろうという気に普通はなりません。それと一緒です。
ラウンダー事業の障壁は、非常に面倒だということでした。効率や能率がもてはやされる今日、人を集め、活用して、結果を出すシステムをつくるのは、割のいいビジネスとはお世辞にもいえません。
私は、あえてその世界に飛び込み、さらに、つくったものを誰も真似したいと思わないレベルまで徹底的に磨き上げました。
だから、ゼロからスタートしたmitorizは、いまや売上50億円。安定的に業績を上げることができているのです。
数値化で彼女たちの価値を証明する
当社のキャスト用のラウンダーマニュアルのベースになっているのは、アサヒビール時代につくったラウンダーの「基本活動20」です。
もともとはマニュアルをつくるのが目的ではなく、スタッフさんの仕事の成果を数値化することでした。「彼女たちにはこれだけ価値がある」ということを、誰にでもわかるよう証明してみせたかったからです。
ちなみに、最初に数値化を試みたのはアサヒビールの社内向けでしたが、これをやっていたおかげで、のちにmitorizを立ち上げ、ラウンダー事業を外販する際に大いに役立ちました。


