予想外に人手がかかった新しいビジネス

ラウンダー事業で実績を積み重ね、2013年になって新たに事業化したのが、消費者購買行動データサービス「Point of Buy(以下、POB)」です。

POBは、レシートの購買履歴に顧客情報を紐付けたマルチプルID-POSです。

POBを立ち上げたころは、競合らしい競合は見当たらなかったこともあり、すぐに投資分は回収できると考えてスタートしました。ところが、思いもよらなかったことが次々と噴出し、計画の修正を余儀なくされます。

まず、予想外に人手がかかりました。

チェーンごとに独自の商品コードを設定していたため、レシートの表記がバラバラなのです。たとえば、同じ飲料でも何ミリリットルというところまで記入されているもの、商品名だけ、商品名の一部だけが記入されているものと必ずしも表記が統一されておらず、そのままだと別の商品として入力されてしまうため、データベースの信頼度が下がります。

そのためのメンテナンスには人の手に頼らざるをえません。しかも、毎月膨大な数の新商品が出るので、びっくりするくらい労力がかかるのです。

それから、レシートの数の確保にも苦労しました。当初は登録済みのキャストに集めてもらえば大丈夫だろうと考えていたのですが、手を挙げる人が思いのほか少なかったのです。

課題を1つひとつ解決していけば成功する

POBを立ち上げたばかりのころはデータの数が少なかったこともあって、なかなか売れず苦労しました。

いちばんの壁は、変化を嫌う日本企業の体質でした。

それから、どういう消費者情報があれば有効に活用できるかが、最初のうちはメーカー側も提供するこちら側もよくわかっていなかったというのも、売れなかった理由の1つだといえます。正解にたどり着くまで時間がかかってしまったのです。

事業の滑り出しは決して順調とはいえませんでした。それでもあきらめなかったのは、商品が売れるか売れないかの答えを知っているのは消費者であるという私の信念がぶれなかったからです。また、「答えを知っているのは消費者である」を営業先で否定されたことは一度たりともありません。

だから、売れない時期が続いても、課題を1つひとつ解決していけば必ず成功するという自信は、逆に深まっていきました。