たとえば、父親が母親に暴力を振るっている場面を子どもが見てしまった。すると、子どもの脳のなかでは、ミラーニューロンによって子ども自身が暴力を振るっているときと同じ活動をする。つまり、親が怒鳴っているのを見たら、子どもの脳も怒鳴っているというわけです。

「三つ子の魂百まで」という言葉がありますが、これは脳科学的にも正しいといえます。

頭ごなしの否定は絶対にNG

子どもをキレやすい人間にしないためには、親は自分の行動を振り返って見直すしかありません。

そのチェックポイントともいうべき行動指針はいくつもありますが、重要なことをいくつかお伝えするならば、まずは「肯定的で具体的な行動を促す声かけ」を意識することではないでしょうか。頭ごなしの否定の言葉はNGです。

「○○しないで」といわれると、子どもはなにをしていいのかわからず不安になってしまいます。電車のなかで静かにしてほしいときなら、「騒がないで」ではなくて「お口を閉じましょうね」「本を読もうか」というといった具合です。

【図表1】子供に具体的な行動を促す声かけ
出所=『究極の子育て 自己肯定感×非認知能力』(プレジデント社)

また、さまざまな試行錯誤をさせてあげることも大切です。子どもは3歳くらいになると、いろいろと「実験」をしたがります。お風呂で石けんやシャンプーなどを混ぜて遊んでいるなんてこともあるでしょう。

おおたとしまさ監修、STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ編『究極の子育て』(プレジデント社)
おおたとしまさ監修、STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ編『究極の子育て 自己肯定感×非認知能力』(プレジデント社)

もちろん、危険が伴うことはやめさせなければいけませんが、ある程度の試行錯誤、実験は許容してあげてほしいのです。

すると、そういった遊びなどを通じて、子どもは「これをやると怒られるんだ」「こういう遊び方は怪我をするんだ」と、実体験に基づいた説得力のあるルールやパターンを学んでいくことになる。

そのなかには、「うまくお友だちと付き合うにはこうすればいいんだ」というふうに、人間関係にかかわることも含まれます。

いずれにせよ、大切なのは子どもに対する親のかかわり方。それを肝に銘じて子どもの目線に立ち、子どもに暴力的な場面を見せていないか、頭ごなしに子どもの欲求を否定していないかと、普段の行動を振り返るようにしてほしいです。

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