①テーマ型投信は合理的とは言えない

株式投資信託というのは複数の企業の株式に投資をするものです。投資信託の種類は様々で、その分類方法も色々ですが、一番基本になるのはパッシブ型かアクティブ型という分け方でしょう。パッシブ型は例えば日経平均やTOPIXといった市場の指数に連動を目指すタイプなのでとてもシンプルですが、アクティブ型の場合はどういう投資対象に投資をするのか? というのが重要なポイントになります。大型株か小型株か、あるいは割安株を中心に選ぶバリュータイプか、成長性を重視して銘柄を選定するグロースタイプか、といった具合です。

成長グラフ
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ここで注意しなければならないのは、アクティブ型は独自のポリシーの下に運用することになりますが、それは投資する基準を明確にしているということであって、選択する銘柄の母集団を最初から小さくするという意味ではありません。例えばグロース株に投資をするというファンドであれば、業種や規模は関係なく、中長期的な視点で成長するかどうかという基準で選ぶべきものです。そういう銘柄を数多い上場企業の中から選ぶことが大切ですから、選ぶ対象の母集団が大きいほど、良い銘柄を発掘できる可能性が高くなるのは当然だと言えます。

だとすれば、テーマ型投信のように投資する対象を最初から狭めてしまうというのはあまり合理的な投資方法であるとは言えないでしょう。

②「わかりやすいこと」が「儲かる」とは限らない

にもかかわらず、なぜ多くの人はテーマ型投信を買おうとするのでしょうか? その理由は“わかりやすい”ことと“売りやすい”ことにあります。買う顧客側から見れば最大の理由は何と言ってもわかりやすさでしょう。AIやロボット、5Gなどというテーマはテレビやニュースでもよく取り上げられていますので、投資信託のことをよく知らない人でもなじみがあります。

これは販売する側から見るととても売りやすいということになります。ただ、いくら言葉を聞いたことがある、或いはそれについてよく知っていたとしても、それらに関する企業の株価が必ずしも上がるとは限りません。「わかりやすいこと」と「儲かること」はまったく別問題なのです。