2021年の株価の動きはどうなるのか。国際エコノミストの今井澂さんは「コロナ禍の中ですが、指標を見ると、今後3~4年は間違いなく株価の上昇が続くと考えていい。友人の竹中正治教授も2020年代には日経平均3万円が達成される公算が大きそうだと言っている」という――。

※本稿は、今井澂『2021 コロナ危機にチャンスをつかむ日本株』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。

日本株上昇のイメージ
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株価は名目GDP成長率を見れば上昇は明白

銀行では1つの口座を管理するのに2000~3000円かけています。以前の銀行は、口座管理にコストがかかっても利ざやで十分儲かっていました。しかし超低金利の時代に入って、もはや利ざやでは儲けられません。それで新規の口座や休眠口座から口座管理料を1500~2000円ほど取るようになりました。預金者としては銀行にお金を預けると減ってしまう時代になったのです。

いっぽう、たとえば日本人は401kでも7割は預金になっていて、超低金利でほとんど利益が出ません。だからこそ、これから年金で株を買う時代がきます。逆にいうと、今までは多少、年金の余裕があっても株は買わなかったのです。

実は株価というのは面白いもので、過去20年間では名目GDPと同じ成長率になっています。ちなみに国別の株価は過去20年間で中国が54倍、アメリカが3.9倍、イギリスが3.8倍、ドイツも3.8倍、日本は1.7倍になりました。日本は他国に比べて上昇率が低いのですが、それでも銀行預金よりははるかに儲かりました。

多くの日本人は、株は損すると思っています。損するのが怖い。たしかに、株価の暴落はしょっちゅうありました。ただしPBR(株価純資産倍率)では1倍以下になったことはほとんどないし、たとえなったとしても次の瞬間に必ずまた上がりました。

今は新型コロナショック対策でお金をうんとばらまいています。それが名目GDPを上げるのですが、2020年3月以降、これからの株価は5~10年は上がっていくという数字が出ています。

ゴールデン・クロスが「長期的な上昇を予告」している

言い換えると、株価の10年の移動平均と20年の移動平均、あるいはそれほど長い期間ではなくても1年の移動平均と2年の移動平均からも、これからの株価がよくなるのはほとんど間違いないということがわかります。短いほうの移動平均線が長いほうの移動平均線を抜くと「ゴールデン・クロス」といって、長期的な上昇を予告するという経験則があるのです。

株式会社マネースクエア、チーフテクニカルアナリストの宮田直彦氏によると、このゴールデン・クロスは2回発生しています。第1回目はアベノミクスが始まって以後、2013年1月の1万1138円から2015年4月の2万0580円まで30カ月上がりました。上昇率は84.8%です。2回目のゴールデン・クロスは2017年6月の2万0033円から2018年9月の2万4120円までの16カ月で、20.4%上がりました。

名目GDPの上昇と菅新政権の発足等を勘案すると、今後3~4年は間違いなく株価の上昇が続くと考えていいでしょう。

仮に4年間上昇するとすれば28カ月なので、84.8%上がった30カ月にほぼ近いということになります。ただし、今度は50%と低く見積もったとしても、日経平均は現在2万3000円台ですから、結果3万5000円くらいにはなるわけです。