「2020年代には日経平均3万円が達成される公算が大きい」
株をやっていない人は、株価の右肩上がりのトレンドがなくなってしまったから怖いと思っていますが、右肩上がりのトレンドも戻ってきた可能性があります。
私の友人で、かつて東京三菱銀行(現三菱UFJ銀行)の為替資金部次長や調査部次長を務めた龍谷大学経済学部の竹中正治教授は、時事通信社の総合金融ビジネス誌『金融財政ビジネス』2019年12月9日号において数々のデータを示し、「2003年以降の企業利益の長期トレンドを見る限り、日本株の右肩上がりのトレンド回復は本物の可能性が高い。20年にかけて景気後退でまた落ち込む局面はあろうが、2020年代には日経平均3万円が達成される公算が大きそうだ」と書いています。
私の意見も竹中教授と同じです。
付言すると、円安ということも日本の株価に大きなプラスになっています。今の円の実効レートは過去20年と30年の平均と比べて18~24%割安なのです。だから円安が企業収益にプラスになって、これも企業収入が下がったとしてもそれをかなりカバーすることになると考えられます。
日本人の知らない日本株の魅力、バフェットが商社株購入の理由
今や株価が上がる状況になっていて下値にも限界があります。ところが、多くの日本人の頭のなかでは株はまだ怖いようです。その思いを払拭してくれるのが、投資家のウォーレン・バフェット氏です。
私も昔、アメリカの金融街であるウォールストリートにいたので、バフェット氏のスピーチをずいぶん聞きました。
すでに述べたように、バフェット氏は日本の5大商社の株を5%ずつ買ったことを公表し、将来は9.9%まで買い増すといいました。これまでバフェット氏はほとんどアメリカ株一辺倒だったのです。アップル株やバンク・オブ・アメリカ株で7割の資金を運用してきました。海外の株の比率は非常に低く、本気で海外に投資したのは実は今回の商社株が初めてなのです。
バフェット氏は東日本大震災後の2011年5月に切削工具メーカーのタンガロイ(2004年2月にMBOにより東証一部上場廃止)を訪問するために初来日しました。しかし、そのときも、日本で関心を引く大企業の株はいくつかあると語った程度でした。
目下、バフェット氏の投資会社バークシャー・ハサウェイには手元資金が過去最高水準の1465億ドルあります。そのバフェット氏が、商社株を買った理由については第1章(※註)でも触れましたが商社株は日本株ですので、ここでは日本株をなぜ買ったのかという観点から述べてみます。
註:著者は別章でバフェット氏が総合商社株を買った理由として、今後、食料危機のリスクがある中で食糧関連のビジネスをしていること、また総合商社の株はPER(株価収益率)もPBR(株価純資産倍率)も低くて割安であることをあげている。