写真を二次元で解釈するという仕事は案外難しい仕事だった

【岩澤】写真を二次元で解釈するという仕事は、皆さんにとってはやり慣れているものではありませんから、難しい仕事ですよね。皆さんの脳は、難しい仕事をやれと言われると、それを自分にとって馴染みのある易しい仕事に勝手に変換して対応するのです(笑)。システム2を使うのを嫌がって、自然とシステム1で対応してしまうわけですね。

カーネマンたちは、こうした事態を「属性の置き換え(attribute substitution)(※12)」と呼びました。ある判断を行う際に、人間はその判断の対象となっている属性を置き換えることにより、仕事を自分にとって容易なものにする傾向がみられる、ということです。

これからいくつかの問題をやりますが、そこで繰り返し起こるのはこの「属性の置き換え」です。先に行く前に、ひとつ確認しておきましょう。

先ほど、少数のほうが「上も下も同じ」という正解に辿り着いたわけですが、その方々は、「遠近法を排除する」とか「補助線をひいて」とかおっしゃっておられました。

彼らはシステム1が立ち上がるのを意図的に排除して、意識的にシステム2を使った、ということがわかります。「意識的にシステム2を使う」というのは、原始的なやり方ですが、システム1がミスを犯しやすい場面で自分をマネジメントするひとつの方法ですので、覚えておいてください。

コインを6回投げたときの順列としてもっとも出やすいのはどれか?

続いて【問題2】にいきましょう。問題をここに再掲しておきます。コインを6回投げたときの順列として考えられる、

1|表、裏、裏、表、裏、表
2|表、表、表、表、表、表
3|裏、表、裏、裏、裏、表

の3通りのうち、出やすいと思う順に「1>2>3」のように続けてください、という問題でした。皆さんの回答をお聞きしましょう。

コイン
写真=iStock.com/suteishi
※写真はイメージです

【M】1>3>2。
【N】1>3>2。
【O】全部一緒。1=2=3。
【P】3>1>2。
【Q】全部一緒。

【岩澤】それ以外の意見ありますか? では皆さんに聞いてみましょう。

「1>3>2」だと思う人?
(約半数が挙手)

「3>1>2」だと思う人?
(約1割が挙手)

「全部一緒(1=2=3)」だと思う人?
(約4割が挙手)