「女の子だってなんだってできる」と演説
今年の米国大統領選挙で、ジョー・バイデンにも負けない注目を集めたのが、初の女性副大統領に就任予定のカマラ・ハリスです。アメリカで女性が参政権を得たのは1920年のことですから、そのちょうど100年後の2020年に初の女性副大統領候補が勝利を収めました。
勝利宣言のスピーチでカマラ・ハリスは「今、私がここにいるのは、母をはじめ多くの女性たちが道を作ってくれたから」「私は初の女性副大統領になるかもしれないけど、決して最後ではない。今日このテレビを見ている女の子たちがいるから」と発言して世界中の女性の共感を呼びました。ハリス氏が女性の人生に限界をつけてきた「ガラスの天井」に風穴を開けた大きな瞬間です。
これはアメリカの政治の話ですが、この勝利はアメリカだけに終わらない「女の子だってなんだってできる」の実現に向けた大きな一歩ではないでしょうか。そしてそれを叶える土壌が今の日本にもできあがりつつあります。「一億総活躍」の号令の下で、社会が法改正や制度改革で女性の活躍を応援し始めているからです。これからの社会を生きる女の子たちは私たちとは違い、もっと「女の子だってなんだってできる」が当たり前の社会を生きていくのかもしれません。
「理系は苦手、稼げない」ステレオタイプは根強い
でも、今の社会のままでは「あること」を変えないかぎり、社会に出て行こうとする女の子たちは立ち往生してしまう可能性があります。その変えないといけない「あること」とは、従来の「女の子」のイメージを女性に押し付けない、ということです。
私たちは人を見るときにステレオタイプを押し付けがちです。例えば「アメリカ人だから明るい性格なんだろう」「関西出身だからおもしろい人だろう」など。それらと同じで性にもまた付随するステレオタイプがあります。女の子なら優しくて可愛らしい、良妻賢母であるべきなどです。
一方、ネガティブなステレオタイプもあります。女の子は理系の勉強が苦手、稼げない、男の子より立場が下、母・妻・娘としてお世話できないのはダメな子、などです。
こういうステレオタイプが社会に常識として受け入れられていると、女性は「女の子だからこうするべき」という固定観念に自分を当てはめようとします。特にネガティブなステレオタイプに対して、人間は「合わせないといけない」という恐怖を感じる生きものであり、本来の能力を発揮できなくなるという有名な研究もあります。
「男の子」「女の子」といった性に対するイメージを押し付けるとは、それに付随するネガティブなイメージもまた人に押し付けることになるのです。