知らないうちに言われた役割を演じてしまう

「女の子」を押し付けられればそこに付随する「女の子は理系が苦手」「女の子は論理的思考が苦手」「女の子は偉くなれない」「女の子は弱い」「女の子は男の子より稼げない」など女性に対するネガティブなステレオタイプも一緒についてきます。

そうすると、知らず知らずのうちに娘はそれに合わせようとして「男の子より劣る自分」「男の子に守られないとダメな自分」を演じることになります。自分は弱い、偉くない、を演じれば男の子に「NO」と言いたい時に言えなくなります。守られる役を演じてばかりでは自分で自分を守れなくなります。

私たちが娘につけたスカイという名前はドリュー、テイラー、ケネディー、サム、アレックスなどのようにジェンダーニュートラルな名前です。またわが家ではおもちゃを与える時もトラックとお人形の両方を与えていました。

カラフルなおもちゃとぬいぐるみ
写真=iStock.com/monticelllo
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自分の性が分からなくなるのではないかという懸念もあるかと思いますが、ご心配なく。社会は容赦なく性別のステレオタイプを押し付けてきます。自分が女の子であるという自覚はきちんと生まれます。だからこそ、家庭でジェンダーニュートラルな子育てをすることで、性別に付随する「限界」を感じさせないことが大切です。

女の子が女性活躍時代を「女だから無理」「女だから男より優ってはダメ」「女だから家のことちゃんとするのが仕事」という限界を感じることなく、思いっきり自分で生きるためにはジェンダーニュートラルな子育ては非常に効果的です。

専業主婦だって「家庭に入る」ためではない

家庭でのジェンダーニュートラルな子育ての第一歩は、「男の子なんだから」「女の子なんだから」と子どもの行動に限界をつける発言を控えることです。その上で、もっと大切なことは母親と父親の双方がジェンダーにとらわれない家庭運営にあります。子どもは言われたから学ぶのではなく、親のやることをみて学んでいくからです。

つまり、娘のお手本となる母親が女性の役割に縛られないロールモデルになる必要があります。そのために従来の「母・妻・娘が女性の役割」という古い価値観から自分を解放しなくてはいけません。

まず「家のことをきちんとするのは女性の仕事」という考えから「家事育児は夫婦の仕事」にマインドセットを変えます。例えば専業主婦を選ぶのは「家庭に入る」のが女性の役割だからではなく、自分がそうしたいからです。私も専業主婦がしたくて選んだ時期があります。

専業主婦だからといって家事育児の全てを1人でやる必要はありません。それだけで1日が終わってしまいます。自分のための時間だって必要なのだから、夫に積極的に参加してもらいましょう。自分でできることはどんどんやってもらいましょう。女性はお世話係じゃないのですから。夫婦は一緒に家庭を作り上げていくパートナーです。