在宅勤務が普及し、夫婦が家で過ごす時間は増えている。そんな中、「夫との喧嘩が増えた」という相談が急増しているという。ライフコーチのボーク重子さんは「家にいる夫が家事育児をしないのは『ダメな人』だからではない。そこには、夫自身も気づいていない本当の問題がある」と指摘する――。
けんか直後の重たい空気が漂うカップル
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「家事をしてくれない」vs「文句ばかり言われる」

10年近くライフコーチの仕事をしてきて感じるのは、コロナ禍で「夫との喧嘩が増えた」という妻からの相談が一気に増えたということです。

「夫婦共に在宅勤務なのに夫は勝手にリビングと寝室を仕事部屋にしてしまった。オンラインで学習中の小学生の子どもたちが邪魔しないようにするのに神経を使う。結果的に私は仕事をする場所がなくなり、子ども部屋で一緒にやっているから集中できない」
「夫が在宅勤務になって食事を1日3回用意したりと家事がすごく増えた。それなのに全然手伝ってくれない」

別に喧嘩をしたくてしているわけじゃない、と彼女たちは言います。でも夫は一日中家にいるのに家事育児を手伝ってくれない、大変なのにそれすら察してくれないから文句を言いたくなるのだと。これまでは離れている時間の方が長かったから見逃せたことも、忙しかったから無視していたことも、コロナ禍では妻からすれば夫の行動が嫌でも目につきます。

在宅勤務で妻と一緒に過ごす時間が増えた夫の皆さんのなかには、「妻に叱られる」「文句ばっかり言われる」「ちゃんと手伝ってるのに分かってもらえない」なんて思うことが増えた方も多いのではないかと思います。

サステナブルな夫婦関係をキープするためにはこれに対処することが必要ではないでしょうか。

夫に宿る本当の問題に目を向ける

私がまず女性たちに言うのは「我慢しないのは偉い!」です。別に喧嘩がいいと言っているわけではありませんが、これまでの「母とは、妻とは、家庭がスムーズに運営されるようにあらゆる我慢をするものだ」という固定観念に反旗を翻す意味で重要だと思うからです。

女性の社会進出に伴い、従来の家庭のあり方では回っていかないことが多くなりました。それで喧嘩になるのですが、我慢を吐き出すだけでは不満の根本的解決にはなりません。

そこで私は女性の皆さんにもう1つのステップを紹介しています。それは女性の不満の原因となる、夫に宿る本当の問題に目を向けることです。

なぜ夫は勝手にリビングを仕事部屋にしたり、手伝わなくてもいいという「ご主人様」的な態度を取ったりするのか? それには夫本人も気がついていない理由があります。

妻がそれを知って、夫がそれに対処することがサステナブルな夫婦の鍵です。