欧米での死者数増大の一因は「肥満率の高さ」か
一方、高齢ではないのに重症化、または亡くなられた方の多くは、簡単にいってしまえば「不健康な状態」にあったといえるでしょう。
アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の発表したガイドラインによれば、重症化リスクの高い症状とは、下記のような疾患を持つ方を指します。
ここに該当する方は、若年層でも重症化リスクを持っているとお考えください。まして高齢のうえ、基礎疾患を持っている方は、かなり重症化リスクが高いと考えられます。
とくに気をつけていただきたいのは、肥満です。その他の基礎疾患は明確な病気であるため、自分の不健康を深刻に捉えると思います。しかし、肥満については軽く見ている方が多いのではないでしょうか。
新型コロナウイルスによって、甚大な死者数となってしまった欧米では、その多くが肥満の感染者だったといわれており、実際にイギリスでは、ICUに運ばれた重症者の約73%が肥満だったという調査もあります。
“多少太り気味”でもリスクは2倍
肥満(BMI30以上)は、国や自治体の定める、新型コロナウイルスに感染した場合の入院基準の一つでもあります。ただ、日本人では肥満の人は4%程度しかいません。ほとんどの人は自分には関係ないと思っているでしょう。
しかし重症化のリスクは、BMIが30を超えると急に上がるわけではありません。東アジア人を対象にした研究では、多少太り気味であるBMI24(たとえば身長170cm/体重70kg)以上でも、2倍近く重症化リスクが上がることが報告されています。
日本人の30歳以上の2割以上がこの基準に当てはまります。これを読んでドキッとしている人も多いのではないでしょうか。
男性なら1.5倍、喫煙歴ありで2倍、55歳以上で2倍
さらに、肥満以外のさまざまな要因によってどのくらいリスクが上がるのかということも、数値としてわかるようになっています。
例えば、男性は女性より1.5倍以上重症化するリスクが高いことがわかっています。ホルモンの関係で、男性の免疫系が活性化しにくいからと考えられています。
喫煙もリスクとなります。喫煙歴があると、約2倍重症化リスクが上がります。喫煙により肺の機能が低下して、細菌やウイルスなどを排除しにくくなるからと考えられています。イギリスでは、重症化リスクを下げる目的で、禁煙する人が急増しています。