日本ケアラー連盟の調査では、高齢の親を介護する子供などが介護に割く時間は新型コロナの感染拡大以前に比べて1日平均で5.7時間も増えた。介護アドバイザーの鳥居りんこ氏は「育ててくれた親の恩に報いようとワンオペ介護する40~60代の子供も多いですが、認知症となった親の世話は壮絶を極めます。心優しい人ほど自滅の道を歩む恐れがある」と指摘する。背負いすぎずに介護する5つの方法を紹介しよう――。
子供が老親の介護に割く時間はコロナ感染前に比べて1日5.7時間増
新型コロナウイルスの感染拡大は介護業界にも甚大な影響を与えている。12月3日に東京商工リサーチが発表したところによると、介護施設の倒産は年間最多を更新、休廃業・解散も過去最多となったという。
介護事業は2015年以降の介護報酬の実質的なマイナス改定によって、経営難に陥る事業者が増加していたが、それにコロナ禍が加わった。
これにより利用者側(伴侶や子供など)が感染を恐れ、デイサービスなどの介護サービスを自粛したことと、自主休業を余儀なくされた介護施設が増えた。その結果の倒産である。
デイサービスを使いにくくなったことで、介護をする家族の負担は増大。一般社団法人日本ケアラー連盟の調査(2020年4月17日発表)では、介護者が介護に割く時間は新型コロナの感染拡大以前に比べて1日平均で実に5.7時間も増えたという。
こうした介護する側の負担の壮絶さは、両親を十余年にわたって介護した経験のある筆者にもいやというほどよくわかる。介護アドバイザーとして活動する筆者に最近寄せられてきた相談からはその厳しさ・ツラさがより強まっていることが実感できる。
以下、3人のケースを紹介しよう。