職場の繊細さんとはどう接するのがいいか

では、職場に繊細さんがいたら、周りはどのように接するのがよいのだろうか。繊細さんに「大丈夫?」と聞くと、たいてい「大丈夫」と返ってくる。繊細さんにつらい思いを打ち明けてもらうには?

「聞き出そうとするより『この人なら言っても大丈夫だな』と思ってもらえるように、自分自身がゴキゲンでいっしょにいるのがいいでしょうね。『最近、元気ないみたいだけど大丈夫?』って言っておいて、あとは隣でお茶を飲んだり、雑誌を読んだり、ゴキゲンに過ごす。それで、何か言ってくれたら肯定的に話を聞いてあげられる自分でいるのがいちばんいいかなと思います。もし何かあったら聞くから、と伝えておくのもいいですね」(武田さん)

「この人なら」と思うのは、先程の伊是名さんの話にもつながってくる。

「ただ相手が私に悩み事を相談しないからといって、相手は私を信頼していない、私は必要ないんだと思い込まないことも大切だと思います。何かしてあげたいけれど、相手がアプローチしてこない、そんなときは、今じゃないんだと変に手助けしないようにしたいですね」(伊是名さん)

子どもが繊細さんだったら

また自分の子どもが繊細さんなら、親としてはどんなサポートができるだろうか。自身も子育て中の武田さんは、親も繊細さんなら子どもの気持ちがよくわかるのでは、と話す。

「繊細な子は服のタグがチクチクするとか、発表会でモジモジするといったことがあると、周りからは『なんでそんなことを気にするの?』っていう扱いをされるんです。自分がふつうに感じていることを気にし過ぎと言われると、どんどん自分の感覚が信じられなくなって『お母さんがいいというからいいだろう』と人が判断基準になってしまう。そうではなく『そういうことがあるよね』『お母さんもそういうところがあるよ』と子どもの感じ方を当たり前に受け止めてあげるといいですね」

武田さんの話に大きくうなずきながら、伊是名さんも「子どもにはいっぱい言いたくなるけれど、どんな人に対しても、まず受け止めたいですね」と話す。

不幸中の幸いを見つけようとしなくていい

最後に二人が実践している自分を大切にするためのヒントを紹介しよう。

「私も失敗して落ち込んだり、疲れてもうイヤだと思うこともありますが、夜寝るときは、『意外とよくやったかも、私』と自分にしっくりくるような言葉を言い聞かせて、寝るようにしています。これぐらい大げさでない言葉なら、自分を褒められるかもしれません」(伊是名さん)

「私は体の状態をよく見ておくことと体の状態が悪ければ、何がイヤでそうなっているのか、ちゃんと見ることをおすすめします。繊細さんは『肩がこっているけれど、仕事のストレスかな、でも今の仕事は恵まれているし……』と、どんな悪いことでもいいことを見つけようとして、そこに居続けることがあります。そうではなくて『今の仕事はどんなところがイヤかな』としっかりイヤなところを見て、こういうところがイヤ、イヤと出し切って認めると、次にどうしようかなと解決への行動につながっていくし、自然にいいところも見えてきます。イヤだと言うことをこわがらないということですね」(武田さん)

二人のアドバイスは今すぐにでも実践できそうだ。忙しくて目先のことだけしか考えられなかったり、周囲に気を使いすぎるたりすると、ついおろそかになる自分自身のこと。この年末年始にじっくり自分と向き合ってみてはいかがだろうか。

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