「ガラケー第一世代」と「スマホ第一世代」の違い

「ゆとり世代」の特徴の一つとして、思春期から携帯電話を持ち始めた最初の世代であり、それによって「同調圧力」が強くなった、というものがありますした。

ここで重要なのは、「ゆとり世代」は確かに「携帯電話第一世代」ですが、もっと厳密に言うと「ガラケー第一世代」である、という点です。

一方、Z世代は、1台目からスマホを持っている「スマホ第一世代」です。

思春期から携帯電話を持ち始めた、という点でこの二つの世代は共通していますが、実はこの思春期から「ガラケー」か「スマホ」かの違いこそ、この二つの世代を似て非なるものに特徴づけているのです。

強すぎる「自己承認欲求」「発信欲求」

SNSの先駆けであるmixiを使いこなしていた若い頃の「ゆとり世代」は、「新村社会」や「mixi八分」というキーワードが示すように、SNSに大変翻弄されていました。

原田曜平『Z世代 若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?』(光文社新書)

しかしZ世代は、LINEに「ブロック機能」(つながった人を遮断し連絡が取れないようにする機能)があったり、ツイッターやインスタグラムに「鍵機能」(承認した人しか自分のページを見られないようにする機能)があったり、インスタグラムに「親しい友達機能」(自分が投稿したものを親しい友達にしか見せないようにする機能)があったりして、嫌な人と極力関わらなくて済んだり、自分の伝えたい人だけに伝えたい情報を伝えられるようになりました。

そのため、「ゆとり世代」のように、大して親しくない人や嫌いな人とも関わり、出る杭にならないように、陰口や噂話を流されないようにと「新村社会」の過剰な「同調圧力」に押し潰されるケースは減ってきています。

もちろん、たくさんの人とSNSでつながっている状況自体は「ゆとり世代」の時と変わらないので、新村社会が全くなくなったわけではありませんが、周りの顔色をうかがって怯えるというより、自己ブランディングのために何を発信するか、ということに頭を割くようになった、という点が大きな違いです。

SNS上で叩かれたくないという「同調圧力」と「防御意識」が強かった思春期時代の「ゆとり世代」と、周りからの心象が悪くならない範囲で、SNS上で周りと同程度に自己アピールしたいという「同調志向」と「発信意識」が強いZ世代――。このように説明すると、この2世代の似て非なる特徴の違いが示せるかもしれません。